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2006/10/11

ファンド・マネージャーが破産したら

『資本の意思』(現・力の意志)の発行元だった『サンラ出版』のH元社長が、自己破産をしたのは‘03年のこと。サンラ出版社長を‘01年に辞任したのち、H氏は違法な〝もぐりファンド〟を設立。サンラ・ワールド社の顧客などから、数億円の資金を集めた。しかし株式投資に失敗して、あえなくファンドは破綻。H氏は東京地裁に破産を申立て、免責(債務免除)が確定した。

多くの債権者を泣かせながら、当のH氏は、ことのほか早く再起を果たしている。破産したその年に『ツカサ都心開発』の専務に就任(‘05年末辞任)し、各種団体が催すセミナーに講師として招かれるなど、社会の表舞台で活躍をしているのだ。多額の債務を抱えた者にとっては、破産者となるデメリットよりも、免責で借金が帳消しになるメリットのほうがはるかに大きい。だから、資産を隠して計画的に破産する輩もいる。

数年前、「パラオ共和国にゴルフ場を開発する」という作り話で、日本の投資家が多額の投資金を騙し取られる事件があった。首謀者のKという邦人詐欺師は、事件後に破産したというが、パラオ政府関係者によれば「破産したあとも、Kはパラオで大金を動かしている」という。

他人名義で海外に隠された資産には、裁判所や破産管財人の目も届きにくい。オフショアセンターに設定されたノミニー(匿名のペーパー会社や銀行口座)などが資産隠しに使われていた場合は、なおさらである。

仮に、出資したファンドが破綻し、そのマネージャーが破産手続きをはじめたとする。その時点で、債権が消滅したものと、あきらめてしまうのは早計だ。「破産申立」と「免責」は同義ではない。破産者は「免責決定」を受けて、はじめて債務が免除される。そして、次のような事由に該当していれば、免責は許可されないのだ。

○利益を図ったり、債権者を害する目的で破産者の財産を隠したり、財産の価値を減少させた。
○すでに返済不能の状態であるにもかかわらず、破産宣告一年前に債権者を信用させ、さらに借金を繰り返していた。
○裁判所に偽りの事実を記載した債権者名簿を提出したり、財産状態についての偽りの陳述をした。

破産したファンド・マネージャーが、資産を隠している疑いがあったり、集金の手口が悪質だったなら、債権者は免責の申立てに異議を唱えるべきだ。免責決定を受けてしまったあとでも、まだ打つ手はある。免責しても「破産者が悪意をもって加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」などは消滅しないのだ。

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