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2007/04/04

増田俊男氏と『サンラ・ワールド社』は「金融商品取引法」の施行を乗りきれるのか

『サンラ・ワールド社』が、自社の主宰・運営する投資クラブ『SIC』(サンラ・インベストメント・クラブ)を解散してから8ヶ月が経つ。会員に事前の予告もなく突然、解散が発表されたのは「第50回SIC定例会」(大阪'06年7月30日:東京8月1日)でのことだった。この〝最後の定例会〟に出席した元会員によれば、海外事業部の熊谷喜代美氏がSIC解散の理由について、つぎのような説明をしたという。

弁護士に相談したところ、これまでSICが行ってきた業務は、新しい投資組合法に抵触するか、グレーな部分があることがわかった。それは、以下の点である。

  • 株の購入は、SICの会員しかできないが、事実上は不特定多数と見られるおそれがある。
  • 「こんなに儲かる」というのは、〝煽り行為〟になる可能性がある。
  • 複数社の株主の個人情報の管理を、サンラ・ワールド社が行うのはまずい。
  • SIC定例会では、その会社の株をもっていない人にもインサイダー情報を出してしまっている。
  • 『アジアン・ドリーム社』(Asian Dream, Inc.)で管理している各社の株券と、会員に渡っている証書とが一致しているかわからない。
  • SICで一括管理してきたため、会員へのサービスが十分できなかった。投資先に関する情報開示請求に対して時間がかかってしまったり、配当も一括して管理していたために銀行がパンクして、3ヶ月毎の配当を年1回にせざるを得なかった。

以上のような事柄を鑑みて、SICを発展的に解消し、新体制にする。

  • 今後は投資先の株券を直接会員に渡し、投資先別に年一回の株主総会および組合総会を日本で開く。
  • 投資の募集、証書の発行、配送、配当業務は各投資先がを行い、その管理をハワイとサンフランシスコの2ヶ所の事務所で行う。
  • ハワイ:『サンラ・コーヒー組合』(Sunra Coffee, LLC)、『ツータイガース・ファンド組合』(Two Tigers Fund LLC)、『サンラ・インターナショナル・ホールディング社(SIH)』(Sunra International Holding Ltd)。
  • サンフランシスコ:『アリウス3D社』(Arius3D,Inc.)『バンエックス社』(BanX,Inc.)、『CLD』、『サンラ・キャピタル・ホールディングス社(SCH)』(Sunra Capital Holdings Ltd)。
  • 日本には、サンラ・ワールド社とは独立した組織として「サービスセンター」が設立され、これまでサンラが行ってきたようなサービスが行われる。実際に業務を行うのは、熊谷(喜代美)ら、現在サンラ・ワールド社で業務を行っている者である。
  • 『SCH』株主については、保有株数に応じてSCH社が保有している『アリウス3D社』、『フォトワークス社』(PhotoWorks, Inc.)、『バンエックス社』等の株を渡す。

法律との整合性を考慮した改革らしいが、熊谷氏が定例会で説明した〝新しい投資組合法〟とは、「投資事業有限責任組合契約に関する法律(ファンド法)」を指していたのだろうか。このファンド法は、'98年に成立した旧法の「中小企業投資事業有限責任組合契約に関する法律」を改正し、'04年4月30日に施行された。ファンドの投資手法が大幅に自由化されたが、一方で'04年12月1日に改正証券取引法が施行され、つぎのような投資家保護ルールも導入されている。

①故意に虚偽の情報を利用して、投資家を勧誘することなどの不正な取引に、罰金や課徴金が課せられる。
②金融商品販売法の対象となり、投資家に対する勧誘を行う場合は、投資リスクを説明する義務が課せられる。
③ファンドへの出資を公募する場合には、有価証券届出書を提出するとともに、有価証券報告書によって財務内容などの重要情報を継続的に開示する。
④ファンドの出資持分の売買、募集などを営業として行う場合は、証券業の登録を行う。

以上の投資家保護ルールは、ファンドの持分も、証券取引法上の有価証券とみなして適用されるのだ。

確かに、外国会社の未公開株を自社グループの『アジアン・ドリーム社』(増田俊男氏と江尻眞理子氏が所有・経営する会社)などが一括して保有し、投資者に出資金に応じた持分を販売する〝サンラ商法〟は、投資家保護ルール適用の対象となるだろう。IPOをうたって投資を煽り、投資リスクの説明義務も果たさず、証券業の登録も行っていない。有価証券届出書の提出は、行ったことはあるのだろうか? 投資家保護ルールに違反する疑いがありながら1年8ヶ月も営業を続けてきたサンラ・ワールド社が、急に改革を思い立ったのは、証券取引法のさらなる改正を受けてのことだろう。「証券取引法等の一部を改正する法律」等(投資者保護のための横断的法制の整備)である。

〔資料〕「証券取引法等の一部を改正する法律」等(投資者保護のための横断的法制の整備)

〔資料〕「証券取引法等の一部を改正する法律」等(投資者保護のための横断的法制の整備)

この改正法は'06年6月14日に公布され、現在は未施行。「金融先物取引法」や「外国証券業者に関する法律」など、投資商品に関する法律群が一元化されて、施行後は現行法の証券取引法は「金融商品取引法」に改題される。

「金融商品取引法」は、投資家保護を目的として横断的に整備された法制だ。対象となる商品が拡大され、集団投資スキーム(ファンド)が包括的に定義されることで、現行法下での巧妙な脱法行為も法網にかかるようになる。また、偽計やインサイダーなどの不公正取引と、有価証券届出書などの不提出・虚偽記載といった開示義務違反に対する刑罰も強化されるのだ。

「投資顧問業者」の資格しかないにもかかわらず、海外に設立した自社グループの会社や外国会社の未公開株に、投資を募集・勧誘・販売してきたサンラ・ワールド社。その商法は現行法下でも違法性を疑われるが、法の適用範囲が拡がれば、これまでのやり方は通用しなくなる。「発展的に」とうたい、昨夏に会員の意向を無視して急進的に打ち出した〝大改革〟は、やはり「金融商品取引法」の施行に備えた〝脱法〟対策だったのではないだろうか。

1_22_4  「不特定多数を対象としていない」と、出資法の適用を逃れる口実となってきたSICも、「金融商品取引法」が施行されれば、「集団投資スキーム」とみなされることは間違いないだろう。最近、元SIC会員などからいくつも起こされている民事訴訟のなかで、被告の増田氏とサンラ・ワールド社らは、SICについて「私募ファンドでも投資組合でもなく、株式などの勧誘を目的とする団体でもない。マネー経済を学び、投資に関する情報交流を目的とした団体」などと主張している。しかし、増田俊男、江尻眞理子からSICの皆様へ』と題して、サンラ・ワールド社が会員に送った文書をみれば、SICが集団での投資を目的とした団体であることは明らかだ。

また、証券取引法を意識してか、これまでサンラ・ワールド社は、投資先の株券などを投資者に渡していなかった。投資者が受け取るのは、『アジアン・ドリーム社』や『フロンティア・ワン社』(Frontire One, LLC)という、増田氏と江尻氏が所有・経営する持株会社が発行した出資分相当の『株式保有証明書』だ。これも「金融商品取引法」では、有価証券の範疇に入ることになるだろう。

SICを解散し、集団投資スキームとして規制の対象となることを避ける。投資者は、投資先と直接取引をしているのであって、サンラ・ワールド社や増田氏は募集・売買にかかわっていない。新体制が、そう主張するためのものであったとするならば、最もンラ・ワールド社にとって不都合な存在が『SCH社』ということになる。「SIC会員投資家が100%株主の持株会社」として発足したSCH社だが、『アジアン・ドリーム社』が発行したSCH株の「株式保有証明書」は、サンラ・ワールド社が投資者の持ち分すべてを預かっているのだ。それは〝もぐり〟の私設証券取引市場『サンラ・クローズド・マーケット(SCM)』で、SCH社の株式保有権を投資者間で売買させるためである。

〔関連記事〕「サンラ商法」は証券取引法に違反していないのか

4_13_15_1   SCH社株は、サンラ・ワールド社が「IPOすれば、自由に売買できるようになる」と宣伝し、投資を煽って募集・販売した案件。そして'、04年末に開設されたSCMは、SCH社がIPOしなかったことをごまかすために、開設したようなものだ。その運営は、現行法下でも違法性が疑われる。しかし閉鎖すれば、SCH株投資者がサンラ・ワールド社に買戻しを迫ることにもなりかねない。そこで返金騒動を招かずに、「金融商品取引法」対策を万全にしようとすれば、SCH社を解散し、SCMを閉鎖するしかすべがないのではないだろうか。

サンラ・ワールド社は、先月8日に「虎ノ門パストラルホテル」(東京都港区)で、「SCH説明会」を開いた。その席上で、SCH社の責任者ジョー・ウェクター氏が、このような提案をしている。

「アリウス3D社株式以外のSCH株式を第三者に売却し、すべてのSCH株式をアリウス3D社株式に交換する」6_1  7_19_1

SCH代行サービスセンター(サンラ・ワールド社)から、投資者のもとへ「株式等交換賛否質問状」が届いたのは、「説明会」からおよそ10日後のことだった。SCH社のすべての債務債権をアリウス3D社の株式と交換し、現在発行済みのSCH総株数とアリウス3D社の株数を同数にすることについて、賛否の回答を求めた質問状だ。

これは、SCHの解散の準備とも受け取れる。似たような趣旨の発表は、すでに昨年の「第50回SIC定例会」でも、熊谷氏が行っていた。

さて、昨年の下旬からはじまったサンラ商法の〝大改革〟だが、これが完了したとして、はたして「金融商品取引法」の規制をクリアできるのだろうか。サンラ・ワールド社は昨年9月20日、SIC事務局に代わる新管理システムとして、「海外管理先」「サービスセンター」を新設した。 しかし、別組織を標榜したこのセンターは、いずれもサンラ・ワールド社が運営していることが判明している。10_1

〔関連記事〕「サービス料」名目の〝詐欺的〟資金集めの証拠

弁護士の指導を受けたというが、実質的な構図は改革前となにも変わっていない。傍目には、外形を偽装しただけとしか思えないのだが、これで法改正後の規制に対応できるのだろうか。「金融商品取引法」は、今年7月に施行される予定だ。

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