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2008/02/15

時事評論家の増田俊男氏が「近日上場」を吹き続けてきたカナダ未公開株の〝落とし穴〟 Arius3D

071011_190802a 海外事業などへの投資を名目に国内の一般投資家から出資金を集め、1月24日に警視庁に告訴された増田俊男氏と『サンラ・ワールド社』(江尻眞理子社長)が、これまでに行なってきた出資募集の総額は200億円を超える。その資金の過半が投資されている(ことになっている)のが、カナダのIT会社『アリウス3D社』(Arius3D,Inc.)の未公開株だ。

増田氏らは昨年から、この会社は「CPC(上場会社との合併)方式で、TSX-V(トロント・ベンチャー証券取引所)に上場する」と出資者に説明してきたが、またもや合併完了(市場取引開始)が延期になったらしい。

2月4日には、アリウス3D社の財務担当役員から報告があったとして、英文の報告書に訳文を添えて、その前に予告していた2月5日を「翻訳の解釈ミス」としたうえで「取引開始のベストタイミングは2月11日から15日ころが最適と考えている」と訂正。2月11日には合併の母体となる『レベッカ・キャピタル社』の株主総会が開かれたが、同日付でアリウス3D社の財務担当役員が増田氏に送った報告書が、日本のサンラ・ワールド社顧客である〝擬似株主〟へマル秘あつかいで配信された。サービスセンター(サンラ・ワールド社)が添付した和訳文によると、「合併の完了は遅くとも2月末と予想しています」と、市場取引開始の期日が延びたことを示している。

この文書には、さらに気になる記述があった。

「投資家が最低250万ドル(約2億7000万円)の出資を約束すれば、遅くとも手続き完了後2週間以内に正式合併となるだろう」

250万ドルの出資を増田氏が〝提案〟したことで、合併完了と取引開始は迅速化される、とアリウス3D社財務担当役員は書いているのだそうだ。

まさか、いまさら「250万ドルが集まらなければ上場できない」と言い出したりはしないだろうが、もしも追加投資の募集があったら要注意。「上場祝賀会」を開き、クス球を割るパフォーマンスをやっておきながら、4ヶ月経っても上場(合併)が完了していないマユツバな投資話だ。

'06年12月1日に、サンラ・ワールド社が明治記念館で開いたアリウス3D社の「株主説明会」の録音がある。

「arius3d_10.wav」をダウンロード

この頃は『NYSE』(ニューヨーク証券取引所)での上場を宣伝していた。いま聴いてみると、増田氏が吹いていたホラのスケールの大きさがわかるだろう。荒唐無稽な与太話を、まるで真実のごとく熱弁している。

投資者は、目の前にぶら下げられたニンジンを追いかけてばかりでは、現実が見えなくなる。増田氏が7年以上も吹きつづけてきたアリウス3D社の〝上場話〟の変遷を、時系列にまとめてみた。過去の経緯を振り返ってもらいたい。

'00年7月
アリウス3D社株の投資を初募集。「株価は20億ドルを超える可能性があります。これはすなわち、現行の株価の40倍になることを意味しています」などと宣伝。

'00年9月
増田氏が最高経営責任者を務めていた『アジアン・ドリーム社』が、アリウス3D社株1000万株(額面1株1ドル)を1000万ドルで取得。

'00年11月
「世界中の投資銀行のオファーが殺到した中で、優先株1000万株を取得できた。すでに4倍の買収の申し入れがあり、買った途端に4倍と考えてもよい」(時事直言!No.111)と、ネット上でも投資を募集。

'02年初旬
「第2のマイクロソフトといわれる世界IT界の花形株、'03年IPO予定」(サンラ・インベストメントクラブのご案内)と宣伝。

'02年3月
30万株を「'03年にIPO(新規株式公開)ほぼ決定」とうたい、1株2ドルで募集。

'04年6月
1口1万株(1万ドル)で130口を募集する。

'04年9月
転換社債550万ドルの募集開始。

'05年2月
2月18日、在日カナダ大使館(東京都港区)で「Arius3D会社説明会」を開催し、その直後の23日に投資者へ発送した文書で、 「日本支社を設立し世界第2の日本市場に進出することが決まり、その資金確保のため昨年550万ドルの転換社債を募集し130万ドルの応募を得ました。今回は残額420万ドルの募集となります。年利10%、償還は2006年10月31日です。2006年末までにIPOを目指しているので安定配当(10%)ばかりか大きなキャピタルゲインも期待できるすばらしい投資」と勧誘。

'05年3月
転換社債550万ドル募集終了。

'05年4月
カナダ大使館で、発行済転換社債の受け渡し式を開催する。

'05年4月
IPOは、カナダ市場『モントリオール証券取引所』または『カナディアン・ベンチャー証券取引所』に本年中に、来年にはナスダック市場にIPOする予定になっている」と宣伝。しかし実際は、「モントリオール証券取引所」は、'99年以降は個別株を扱っておらず、「カナディアン・ベンチャー証券取引所」は、'01年に別の証券取引所に統合されており、発表当時はすでに存在していなかった。「ナスダック」については、その後は二度と名を挙げることがなかった。

'05年5月
「IPOはカナダのモントリオール証券取引所、あるいはカナディアン・ベンチャー証券取引所に'05年中(遅くとも'06年初旬)に予定」と虚偽の上場話で割当ワラント発行数400万株(行使価格・1株50セント、行使期限・'05.12.31)を募集

'06年2月
虚偽のカナダ市場でのIPOが期限切れになると、にわかに『NYSE』(ニューヨーク証券取引所)での上場をうたいはじめる。「増田、江尻はアリウス3D社のIPOについて、NYSEで打ち合わせた。会合に出席した『アーキぺラーゴ』(NYSEと合併した電子証券取引市場運営会社)の役員は、アリウス3D社をIPOの第一候補にしたいと述べた」(第48回SIC定例会)と説明。

'06年4月
IPOに必要な投資銀行を選定し、7月をめどにSECへ書類を提出。11月末に上場申請書類に対する回答を受け取る予定。遅くとも'07年初春にはIPOできる自信」と、第49回SIC定例会で発表。

'06年6月
『サンラ・ワールド投資事業組合』の債権とアリウス3D社株を一部交換。「増田俊男(元サンラ事業投資組合代表組合員)からの提言」という文書のなかで、増田氏は「組合出資1口に対して47万5000円の債権を増田氏に譲渡するなら、アリウス3Dの株式500万株(優先株1株:1ドル)を、組合出資1口に対して5000株の割合で譲る」と提案し、'07年4月末日までにアリウス3D社がNYSEでIPOできなかった場合は、自分が買い戻す」と保証した。

'06年7月
カナダ大使館で、3Dカラーレーザー・スキャニングのデモンストレーションと報道発表を主催。

'06年8月
第50回SIC定例会で、「待望のIPOが'07年4月になることが、ほぼ確実になった」とし、事業の実態がないまま頓挫していたPGI(パラオ・ゴルフコース)株とアリウス3D社との交換完了を発表。 「IPOまでの最後のチャンス」と称し、増田氏と江尻氏がハワイに所有・経営する『フロンティア・ワン社』が取得したというアリウス3D社増資株220万株を募集する。

'06年11月
NYSEへのIPOについては、投資銀行との契約も完了し、最終準備段階に入った。『NYSE電子市場』に加えて、『TSE』(カナダのトロント証券取引所)と『AIM』(ロンドン証券取引所)にも上場を目指して準備を進めている」と発表。

'07年2月
「'07年初春」と予告していたNYSE市場でのIPO話が期限切れになると、「アリウス3D社はカナダ籍の会社なので、まずトロント市場に上場してから、ニューヨーク、ロンドン市場に上場することになった。4月末に上場完了の予定」と言いだす。

'07年3月
カナダ最大の銀行が投資銀行に決定し、1000万ドルのファイナンスが可能になった。IPOへの3つのステップのうちの2つが完了。先にトロント市場に上場、続いてNY、ロンドン市場に上場予定。IPO時期は、楽観的に見ると4月末~5月上旬、現実的には5月下旬、遅くとも6月下旬の見込み」と、説明会で発表。サンラ・グループの『サンラ・キャピタル・ホールディングス(SCH)社』のすべての債務債権をアリウス3D社株と交換することを、投資者に提案する。

'07年4月
SCH株主(出資者)に、同社の所有するアリウス3D社のワラント行使750万株分(375万ドル:約4億5000万円)を募集する勧誘文書を送る。
SCH社の社長の名で、「アリウス3D社は、遅くとも'07年6月30日までにIPOを果たす予定。SCH株とアリウス3D株を交換すれば、上場後に市場で売買ができるので、持株の現金化を早くできるようになる」と、株式交換を推奨。

'07年6月
12日、増田氏は一部の投資者に対して「(TSX-Vでの)IPOは13日午後2時の時点で正式に決定します」と断言。しかし、実現はせず、その頃を境にして「CPC方式という制度を利用する」と言いはじめる。28と29日には、アリウス3D社の説明会を開催。「Arius3D,Inc.株主説明会(28/29日の追加説明」と題する文書のなかで、カナダ時間6月29日、CPC担当法律事務所は証券取引委員会からIPO承認の確認を得たとして、アリウス3D社の転換社債を募集。上場価格を35カナダセント(33米セント)に設定し、1株あたり3株に株式分割する。そのIPO価格から10パーセント引きというのが、転換社債募集の条件だった。この勧誘では「35セントでスタートして、10倍の3.5ドル、さらに7.5ドル(20倍)になってもおかしくない。充分可能なターゲットである」と煽っている。

'07年10月
10日と11日の2日間にわたり、「Arius3D,Inc.説明会・祝賀会」開催。アリウス3D社の上場を祝してクス球が割られ、「11月に上場し、上場すれば10倍から15倍になる」と増田氏は豪語。15日付「Arius3D,Inc.からのご報告」、18日付で「Arius3D,Inc.株主への緊急報告」と「Arius3D,Inc.説明会のご報告」という3つの文書では、「初期の株価ターゲット1株5ドルを目標とします」などと宣伝されていた。
19日には「Arius3D,Inc.株主の皆様」と題した文書で、 フロンティア・ワン社が保有するという約550万株分のワラントを募集する。締め切りは10月末日。

'07年12月
年末文書」で、上場(合併)の遅れについても、必死に弁明。

'08年1月
投資金の返還を求める投資者が殺到し、佐藤博史弁護士が「1月末に上場する。いま手放したら儲けそこなう」と、増田氏らを代理して営業活動を展開。サンラ・ワールド社は、1月29日付の文書で「TSX-V市場での取引が2月5日に開始される」と発表。

'08年2月
4日、取引開始日を「2月11日から15日ごろ」と訂正する文書を発送する。

こうして増田氏らは、カナダの小さな未公開会社をタネに、7年半ものあいだ追加投資を募集してきた。

投資者は「上場するかしないか」ということばかりに気をとられ、足もとが見えなくなる。本当の〝落とし穴〟は、上場(合併)したあとにあるのだ。

昨年の秋、増田氏は一部の投資者に対して、このように説明していた。

アリウス3D社が上場すれば、一定期間後に市場で売買できるようになる。その時点で、投資者は自分で自由に市場売買ができるようになり、それを自己責任という。したがって、私(増田)にも誰にも、投資者に対する責任はなくなる。投資者が投資した株式に100%の自由裁量権を持つところまでが、私たちの責任とする。

そして最近は、こんなことを言っているという。

「『ソロバン』を捨てて、これからは『お経』だけでやっていく」

増田氏が口にするまでもなく、「ソロバン」(出資金集め)を捨てなければならないのは必然だ。来月31日には、昨年の9月に施行された金商法(金融商品取引法)の猶予期限がやってくる。それまでに無登録のファンドは、登録もしくは解散をしなければならない。

サンラ・ワールド社もフロンティア・ワン社も、外国会社を使った〝脱法〟が通用しなくなり、金融庁に登録しないかぎりは金融商品(株式等有価証券)の取り引きを一切できなくなるのだ。

そこで、アリウス3D社の合併が完了し、市場取引が開始されたとする。増田氏らは、金商法を理由に売買の仲介を拒否。そして、「投資者は自由裁量権を持ったのだから、自分たちに責任はなくなった」と主張するのだろう。

そうなると投資者は、かりに手もとに株券があったとしても、その売却は容易ではない。

登録を受けない「外国証券業者」は、国内にある者を相手方として、証券(金融商品)取引行為を行なうことを禁じられている。海外の「外国証券業者」(外国の法令に準拠し、外国において有価証券関連業を行う者)と自発的に接触し、自身で英語を使って諸手続きを行なう。あるいは、金融商品取引業者として日本で登録を行っている「外国証券業者」と取引をするか、選択肢はそのどちらかしかないのだ。

しかし、増田氏とサンラ・ワールド社の投資者にとって、有益な最高裁の判例ができた。

「情報提供者にも賠償責任」 最高裁が初判断 海外の金融商品

海外の金融商品が償還不能になった場合、証券取引法(現・金融商品取引法)で「賠償責任を負う」と規定されている「虚偽の書面を見せるなどして有価証券を取得させた者」が誰を指すかが争われた訴訟の上告審判決が15日、最高裁第2小法廷であった。古田佑紀裁判長は、賠償責任を負う者について「証券の発行者に限るとすることはできない」との初判断を示した。

原告は短期金融市場の資金仲介会社「上田八木短資」(大阪市)で、投資顧問会社「アジャン・ドール倶楽部」と同社の幹部2人に1億円の損害賠償を求めていた。

古田裁判長は「ア社幹部2人は虚偽の書面を使って上田八木短資に証券を取得させており、証取法の定める賠償責任を負う」と述べ、ア社の幹部1人だけに1億円の支払いを命じた2審東京高裁判決を破棄して、審理を同高裁に差し戻した。

判決によると、上田八木短資は平成13年、ア社が提示した書面を信じ、英国を拠点にする投資グループ「インペリアル・コンソリデイティッド・グループ」の会社が発行した金利7・5%の海外証券を30億円で購入したが、期限の1年を過ぎても全額が償還されなかった。

購入の際、国内の関連会社から目論見書を示されたほか、情報提供を受けたが、後に記載された内容が虚偽だったことが判明した。

訴訟でア社側は「投資顧問会社として助言しただけで、証取法に基づく賠償責任はない」と主張。2審判決は、賠償責任を負う者を「証券の発行者などと同視できる者に限られる」と判断していた。

この問題では、国内の投資家約280人に約120億円の被害が出たことが発覚している。

産経新聞 2008.2.15 11:07

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