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2008/05/21

自称評論家「増田俊男」の〝カルト人気〟を影で支えた人びと② [船井幸雄]

米国で、ネズミ講(天下一家の会)や畳の行商などをしていた増田俊男氏が、アメリカンドリームに敗れて帰国したのは'95年のことだ。その当時、増田氏が自称していた肩書きは、いかにも怪しいものばかりだった。

国際民主運動家、オクスレー国際信託銀行会長、UBAホールディング社代表、アジアン・ドリーム社(タークス・カイコス籍)代表、パラオ共和国国会アドバイザー、ハワイ王国全権大使、明治天皇の落胤、赤穂義士の末裔──。

いうまでもなく、ほとんどが「自称」もしくは「詐称」である。これだけインチキ臭い肩書きを並べたら、ふつうは「詐欺師」と疑われても仕方がない。当時の増田氏には、'93年に出版した『ハワイ王国独立と日米総合戦争』(飛天出版)という1冊の著書しか、信用の証となるものはなかった。

1冊の著書を引っさげて、〝ニセ皇族〟の詐欺師や〝右翼もどき〟ら有象無象の輩が集うサークルに参加していた増田氏は、そこで某出版社を退職したばかりのフリーライターと知り合う。

「ボクは、アメリカで民主運動をしていた有名人なんだ。著書もあるんだよ。しかし、帰国したばかりで、日本ではまだ名を知られていない。どうだ、世に出る手助けをしてくれないか。ボクは国際的な銀行家だからね、カネに糸目はつけないよ」

増田氏は、ライターをスカウトする。その人物が帰国後、最初のゴーストライターだった。

増田俊男が政党を旗揚げし、総理大臣になってニッポンをよくする──。

100万円の着手金で、注文どおりにゴーストライティングされた原稿には、荒唐無稽なホラ話が綴られていた。

原稿は書きあがったが、増田氏は業界にコネがない。ライターに版元の紹介を求めるしかなかった。しかし、どこの誰とも知れない無名の著者が、ゴーストに書かせた独りよがりのホラ話だ。フィクションとしても食えない。出版社に原稿を持ち込めば、恥をかくことは目に見えていた。

出版社から相手にされないことを知った増田氏は、奇策を講じる。'96年4月、みずからが会長となって、自分の本を自費出版するための〝自慰出版社〟を設立したのだ。それが『国本館』。のちに社名を『サンラ・ワールド社』と改め、詐欺まがいの出資金集めの中核となる会社だった。

増田氏のペンネームは国本憲一。「ニッポンをよくする男」のイメージを意識したつもりだったらしい。

出版社は立ち上げた。しかし、本づくりはズブの素人。書籍取次店との取り引きもないから、書店に置いてもらうことすらできない。

増田氏は、再びゴーストライターに泣きついた。

「できたばかりの『国本館』から本を出しても売れない。著名人から推薦文をもらうか、対談形式の共著にできないか。もちろん、ギャラははずむ。ボクは銀行家だ。カネは腐るほどある」

そのとき、増田氏が名を挙げて紹介を希望した著名人のひとりが、『船井総合研究所』会長の船井幸雄氏だった。

ライターにコネはある。だが、紹介はできない。増田氏に対して、不信感を抱いていたからだ。

船井氏ら著名人との共著も、ままならない。業を煮やした増田氏は、さらなる〝珍策〟を提言した。

「よしっ! それなら、ボクの本に純金をつけて売ろうじゃないか。金だよキン! ゴールドだ。そうすれば、ニッポンの全国民がボクの本を買う。どうだ、名案だろ! ボクは、グローバルな銀行家なんだぁ」

つばきを飛ばしながら、珍論をまくし立てるその様を見て、ライターは増田氏のもとを去ったという。幻の原稿は、国本憲一のペンネームで『国本館』から出版されたという噂はあるが、現物を見た者はほとんどいない。

それから2年後の'98年、有名出版社から2冊の本が出版された。

『日本はどこまで喰われ続けるのか : 個人資産倍増のヒント』(徳間書店)船井幸雄との共著
『日本はこれから良くなる: アメリカが逆立ちしても日本に勝てない理由』(徳間書店)渡部昇一、船井幸雄との共著

初代のゴーストライターが紹介した後任のライターが、編集プロダクションで制作を請け負い、増田氏は夢をカネで買うことに成功したのだ。

船井氏らとの共著が出版された途端、増田氏のファンや信者が爆発的に増殖する。

わずか27名しかいなかった増田氏の投資クラブ兼ファンクラブ(のちのサンラ・インベストメント・クラブ)は、800名を超える会員を擁する規模に膨れ上がった。

増田氏が『サンラ・ワールド社』(江尻眞理子社長)とともに、海外投資を名目とした出資金集めをはじめたのは'99年。船井氏らとの共著が出版された翌年のことである。

現在、増田氏らに対して刑事告訴や民事訴訟を起こすなどしている出資者の大半は、増田氏を信用した理由について「船井氏が推薦していた」ことを筆頭にあげている。

最初は、ギャラで割り切った自費出版のお付き合いという、ドライな関係だったのかもしれない。しかし、増田氏らが詐欺まがいの出資金集めをはじめた以降も、「この人いいよ」と推薦しつづてきた船井氏の責任は重い。

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