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2010/05/17

「逃げ足のカリスマ」増田俊男氏に〝逃げ得〟はあるのか

『サンラ・ワールド社』による詐欺的商法の被害者(出資者)が、同社らに損害賠償を求めた裁判の口頭弁論が、今週に東京地裁で開かれる。この日の弁論では、被告の増田俊男氏とサンラ・ワールド社社長の江尻眞理子氏に対する尋問が行われる予定だ。

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増田氏と江尻氏は現在、ひたすら潜伏生活をつづけている。2月に警視庁から強制捜査を受けた直後に、「湯河原温泉へ行く」と言い残し、そのまま日本を脱出。以降、たまに短期間だけ隠密帰国をして、警察の事情聴取には素直に応じているようだが、それ以外は徹底した秘密行動をとっている。

そもそも増田氏には、賞賛される舞台には好んで登場するが、批判的なムードになると、矢面に立つことを極度に嫌う性質があるらしい。警視庁が強制捜査にはいる以前から、被害者のクレーム処理やマスメディアからの取材依頼などは、その対応を社員や弁護士に丸投げしてきた。そして自分は、遠い異国の地で安逸をむさぼりながら、インターネットやファクシミリなどを通じた〝遠吠え〟の反論を展開。被害者やマスメディアを悪者に仕立てることで、自己正当化をはかる。というのが、増田氏の行動パターンだった。

しかし姑息に逃げ隠れをして、一部の信者やファンの目を欺いているばかりでは、問題の解決につながならない。むしろ「逃避」や「転嫁」は、事態を悪くするばかりだ。逃げて得をすることがない理由のひとつに<公訴時効>の問題がある。

増田氏と江尻氏が、国に登録をしないまま、不正に巨額の資金を集めてきたのは'99年から'07年にかけてのことだ。そして、金商法(金融商品取引法)違反の疑いで強制捜査に踏み切った警視庁が、被疑事実としたのは'07年秋に行われた『アリウス3D社』のワラント(新株予約権)行使の募集だった。

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「無登録営業」の金商法違反では、公訴時効の期間は3年。被疑事実とされた案件以前の募集は、通常ならば、ほとんどが時効になっているわけだ。ところが、増田氏と江尻氏の場合は違う。

刑訴法(刑事起訴法)の第255条1項は、「犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する」と定めている。

この、公訴時効の進行が停止する要件となる「国外にいる場合」の解釈については、わかりやすい最高裁の判例がある。

最高裁判例

事件番号    平成20(あ)1657
事件名     詐欺被告事件
裁判年月日   平成21年10月20日
法廷名     最高裁判所第一小法廷
裁判種別    決定
結果      棄却
判例集等巻・号・頁 刑集 第63巻8号1052頁

原審裁判所名  高松高等裁判所   
原審事件番号  平成20(う)98
原審裁判年月日 平成20年07月14日

判示事項    犯人の一時的な海外渡航と公訴時効停止の効力

裁判要旨    犯人が国外にいる間は,それが一時的な海外渡航による場合であっても,公訴時効はその進行を停止する。

参照法条    刑訴法255条1項

上記の最高裁判例は、投資にからんで女性から約3300万円を騙し取ったとして、2審の高松高裁が、被告に懲役1年2ヵ月の判決を言い渡した「詐欺事件」の上告審のものだ。

事件があったのは、'99年の8月から9月。詐欺罪の公訴時効は7年だから、'06年9月に時効が完成するはずだった。しかし、被告は事件後に56回も海外旅行に出かけていた。その延べ日数である324日が「国外にいる場合」にあたると判断した検察側は、'07年7月に起訴。弁護側は「犯人が一時的に国外旅行をしても捜査に支障はなく、10日を超えない程度の渡航では停止しない」などと主張していたが、最高裁はそれを認めなかった。

Syubun

どれほど逃げ足がはやくても、年がら年中、海外で漫遊している者に公訴時効の逃げ得はない。

一方で、国内で矢面に立たされてきた関係者は、自分たちの時効が完成すれば、その口も軽くなるだろう。

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