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2010/12/08

米国で大成果の「悪質ファンド摘発キャンペーン」日本では不発か

米国で行われた詐欺事件の摘発キャンペーンによって、500人以上を起訴したとするエリック・ホルダー米司法長官の発表を、7日の<ウォール・ストリート・ジャーナル>が伝えている。

同紙の報道によると、今年8月に開始されたこのキャンペーンによって、当局が立件した事件は350件近くにのぼり、100件を超える有罪判決を勝ち取る成果をあげたという。

詐欺事件摘発作戦で500人超を起訴-米司法省 〔ウォール・ストリート・ジャーナル〕

米捜査機関がキャンペーンの対象として摘発し、大量検挙した詐欺事件は、個人投資家をねらった出資金投資商法などのいわゆる「悪質ファンド」だった。同種の商法は日本にも横行しており、警察はこれを「資産形成事犯」と名づけている。そして今年は、日本警察も資産形成事犯の取り締まりキャンペーンを展開した年だった。

警察庁は3月18日、金融庁、証券取引等監視委員会と連携した<資産形成事犯ワーキングチーム>を設置。同月30日には警視庁が、山下史雄生活安全部長を本部長とする<資産形成事犯集中取締本部>を設け、他府県警察などからも応援を得た160人態勢で「悪質ファンド」の摘発に乗り出している。

このキャンペーンを反映して、警視庁は今年の初めから、悪質ファンドの“手入れ”を連発した。1月は、ガソリンや金などへの投資を名目に数億円を集めたとみられる東京都港区赤坂の投資会社「ベストパートナー社」。2月には、「時事評論家」を名乗る増田俊男氏らによる<サンラ・ワールド事件>、カレーチェーンの「バルチック・システムズ社」が中国進出をうたって資金を集めた<バルチック事件>、モンゴルの資源開発会社に重機をリースするとして投資を募った<モンゴル投資ファンド事件>の3事件を、それぞれ金融商品取引法違反(無登録)の疑いで強制捜査した。5月には兵庫県警などと共同して、熱海のホテルグループの預託金商法「岡本倶楽部」を出資法違反の疑いで捜索している。

今年の上半期に、異例の集中摘発を行った警視庁生活経済課だったが、その捜査は下半期になって停頓する。

この種の事犯では、被疑者がいきなり逮捕されることはない。警察は捜索差し押さえによって押収した証拠品を分析し、関係者の事情聴取を重ねて、容疑が固まったところで関係者を逮捕するのが通例だ。そして、警視庁生活経済課が今年に被疑者を逮捕した事件は、植林会社「スタイレックエンタープライズ社」による金融商品取引法違反事件(昨年6月捜索)が直近のもので、それが6月のこと。その後の半年間は1件もない。同課が今年上半期に家宅捜索した複数の悪質ファンドの関係者たちは、いまも身柄を拘束されずにいるのだ。

逮捕の遅れは、警察にとってもデメリットしかない。<モンゴル投資ファンド事件>では、関係会社の元社長が警視庁の事情聴取がつづくなか、先月に練炭自殺をしている。また、米国に永住権をもつ<サンラ・ワールド事件>の増田氏はハワイに潜伏しながら「警視庁は2年も捜査をしながら、証券取引法(現・金融商品取引法)違反を立件できなかった」などとうそぶき、逮捕されていないことを悪用した資金集めの勧誘を行っていた。

被疑者に死なれ、ナメられ、鳴り物入りで旗揚げした<資産形成事犯集中取締本部>も看板倒れとなりかねない事態に陥っても、逮捕がすすまない。その原因は、どうやら東京地検にあるらしい。

一時は帰国していた増田氏が、8月に日本を出国できたのも、自分の夏休みを犠牲にしたくなかった担当検事が逮捕に反対したからだといわれている。そのため、<サンラ・ワールド事件>の被害者は8月から、増田氏らの早期の逮捕を東京地検に請願してきた。しかし、その切実な訴えは、いまだに黙殺されつづけている。

あと3週間あまりで今年も終わる。悪質ファンド摘発のキャンペーンは、下半期の休止状態があったことで、米国のように胸を張って誇れる検挙件数は期待できそうにない。

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