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2011/05/01

「人権派」金井塚康弘弁護士を相手に「本人訴訟」で勝った会社社長の“硬骨”

「一般社会では、何らかの制裁を受けて然るべきことをしても、弁護士は責任をとろうとはしません。弁護士会は身内を庇って処分しない。公正中立であるべき裁判官も、弁護士と一般人である私とを露骨に差別しました。そんな不公正が許せないから、とことんまで闘ったんです」

Img042そう話すのは、編集プロダクション「トライアウト社」(本社・大阪市中央区)社長の車田宏章氏(49歳)。今年3月、車田氏は弁護士に〈弁護過誤〉の損害賠償を求めた本人訴訟の控訴審で勝訴した。相手は、大阪弁護士会の人権擁護委員会の元副委員長で、少年事件の実名報道や名誉棄損訴訟などでマスメディアとも対決してきた〈人権派〉の金井塚康弘弁護士だ。

車田氏が、金井塚弁護士と知り合ったのは'98年。父親から相続した貸金の債権約360万円の取り立てについて、市役所の無料法律相談で対応した金井塚弁護士に業務を委任したことが、今回争われた〈弁護過誤〉裁判に発展するトラブルのはじまりだった。

'99年、車田氏は貸金債務者の妻を相手に、貸金返還請求訴訟を京都地裁に起こす。しかし、訴訟代理人となった金井塚弁護士は証人尋問に約20分も遅刻し、期日開始前の打ち合わせもできなかったという。結果、この裁判は車田氏側が敗訴している。

金井塚弁護士の職務怠慢は、それだけではなかった。債務者名義の生命保険契約の差し押さえを依頼し、再三にわたって催促するも業務を放置。そのため、契約者の名義を書き換えられて強制執行は失敗する。また、簡易保険の保険証書を譲渡担保とすることを約束した〈暫定合意書〉を締結しておきながら、金井塚弁護士は担保物件の引き渡しを受けなかった。これらの度重なる職務怠慢の挙句、解任後には、借用書の原本を紛失していたことも発覚している。

弁護士の事件放置はめずらしくもないが、ここまで懈怠(かいたい)を連発するケースは稀だろう。〈弁護過誤〉の責任を追及されて然るべき案件でありながら、それでも弁護士を被告とした民事裁判は、難渋を余儀なくされる。弁護士を被告とした訴訟を、受任する弁護士がいないからだ。

Img043車田氏が経営する会社は大阪に自社ビルを所有するほか、東京にも支社を置き、計70名以上の従業員数を擁する中堅の編集プロダクションだ。優秀な弁護士を雇うだけの資金力は、十分にあるに違いない。しかし、「方々にかけ合っても、代理人を引き受けてくれる弁護士はみつかりませんでした」と車田氏はいう。

実際、弁護士を訴える裁判の代理人になる弁護士は、まずいないのが現状だ。弁護士の不正や非行が暴かれにくいのは、同業同士が庇いあう弁護士業界の“ムラ社会”的な構造に要因がある。

H22128osakachisaiだが、金井塚弁護士の責任を追及しようとする信念を、車田氏が曲げることはなかった。

弁護士を立てず、おなじ〈弁護過誤〉被害の当事者だった実母とともに'09年5月、金井塚弁護士の職務怠慢が委任契約上の善管注意義務違反にあたるとして、計140万円の損害賠償を求める訴訟を大阪簡裁に提起した。'10年2月に言い渡された大阪簡裁判決(住谷融裁判官)で、車田氏側は敗訴したものの、大阪地裁で争われた控訴審で逆転勝訴する。大阪地裁(黒野功久裁判長)は、車田氏側の請求を棄却した大阪簡裁判決を変更し、金井塚弁護士の善管注意義務違反を認めたうえで計10万円の慰謝料などの支払いを命じた。

本人訴訟を振り返り、車田氏は義憤をこめてこう語る。

「賠償金の額など、問題ではありません。弁護士会や裁判所の不公正をただせたことに、大きな意義を得られたものと自負しています。弁護士会が身内を庇うのは当たり前としても、大阪簡裁の裁判官の対応もひどかった。金井塚弁護士には丁重に話すのに、私に対してはタメ口ですよ。まるで、こちらが悪いことでもしたかのような裁判官の態度をみて、素人が弁護士を訴えた裁判の難しさを痛感させられました」

法律の素人である一般人が、弁護士を立てずに裁判を争うことは、ただでさえ並大抵の苦労ではない。しかも〈訴権の濫用〉をまねきやすい本人訴訟には偏見をもたれやすく、相手は法律のプロだ。それだけの大きなハンデキャップを背負いながら勝訴を勝ち得たのは、車田氏の努力の成果であると同時に、金井塚弁護士に賠償責任を認められるだけの明白な非行があったことの証でもある。

ところが弁護士会と日弁連は、裁判所が断罪した金井塚弁護士の〈弁護過誤〉を非行とはみなさなかった。

車田氏は、大阪簡裁に訴訟を提起した約10ヵ月前の'08年7月に、金井塚弁護士が所属する大阪弁護士会に〈紛議調停〉の申し立てをしていた。問題となっていた紛争を、話し合いによって解決しようと試みたわけだ。しかし、金井塚弁護士に誠意のある対応はみられず、'09年5月に不成立で調停は終了する。

また'09年4月には、大阪弁護士会に車田氏は金井塚弁護士に対する〈懲戒請求〉をするが、同年11月に請求は退けられた。そして、大阪弁護士会の決定を不服として、日弁連綱紀委員会に車田氏が行った異議申し立ても棄却されているのだ。

弁護士の懲戒制度は、〈弁護士自治〉に名を借りた閉鎖的な“ムラ社会”の掟のようなもの。あくまで互助的な組織の内規に過ぎないから、内部の秩序維持にはそれなりの実効性があっても、外界に向けられた非行については大甘だ。

本当に許せない弁護士の悪質な非行は、公正な処分が期待できない懲戒制度などに頼らず、端から法的手段に訴えるべきだろう。

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