「高校野球」頻発する暴力事件「青森山田高校」野球部の1年生部員が死亡
18日の深夜、私立「青森山田高校」の野球部の寮で1年生の部員が意識不明となり、搬送先の病院で死亡したことを19日の<毎日新聞>が報じた。死亡した部員は、上級生から暴行を受けた可能性があり、青森県警が死因などを調べているという。
先輩の後輩に対する暴力は、体育会系の“悪しき伝統”といえるが、ここのところ高校野球部の暴力事件が相ついで問題化している。今年に発覚したものだけでも、3月には岩手県の「一関学院高校」(岩手県)「白樺学園高校」(北海道)、6月には天理高校(奈良県)滝川高校(兵庫県)、そして7月は「足利工業高校」(栃木県)などの事件があった。
これらの事件には、平手打ちや尻を蹴るなどの軽い暴行もあったが、「天理高校」と「滝川高校」の事件では被害少年が顔の骨を折るなどの重症を負っている。
ケガの有無や軽重にかかわらず、暴力は社会的に否定されるべきものであることは当然のこと。「日本学生野球憲章」の第2条(4)にも、<学生野球は一切の暴力を排除し、いかなる形の差別をも認めない>と定められている。しかし、依然として高校野球界には悪しき伝統が根を下ろしているらしく、イジメや暴力が横行しているようだ。
<NEWS RAGTAG>が継続取材している『常葉学園菊川高校』(静岡県菊川市)の野球部暴行事件では、加害者の3年生部員(事件当時2年生)4人が静岡家裁浜松支部に送致され、今月6日に被害少年の保護者が同支部の裁判官と調査官から審尋を受けた。そこで保護者は、加害少年が推薦入試で大学への進学が決まったことを知ったという。一方、事件当時は1年生だった2年生の被害少年は、加害少年から受けた暴行とイジメのショックから登校できなくなり、野球部員としての活動を断念。留年も確定した。
そんな被害少年の保護者が、なによりも憤っているのは学校側の対応だ。常葉学園菊川高校は、4人の加害少年になんら処分を与えていなかった。それを被害少年の保護者が知ったのは、静岡家裁浜松支部から10月に<照会回答書>の提出を求められてからのことだ。その書面には、<少年側からの謝罪等はありましたか>という質問があったことから、被害少年の保護者は、4人の加害少年のそれぞれの保護者に電話で意思を確認した。すると、いずれの保護者も家裁送致された事実すら知らなかった、と答えたというのだ。そして、加害少年が、学校から処分を受けていなかったことがわかった。
被害少年の保護者が家裁に提出した<照会回答書>の別紙には、「書類送検されても無視を決め込み、加害者少年らは学校から現在も何の処分も無く何事もなかったように平気で寮生活を送っています」と書かれている。そして、学校側の隠蔽体質に憤懣をぶつける。
昨年の8月、常葉菊川高校を経営する学校法人『常葉学園』の木宮健二理事長は、講演のなかで「高校野球の静岡県決勝では、学園長が望んでいたように橘高校、菊川高校の兄弟校対決になった」と誇らしげに発表。野球部の運営が“マネージ力”の一環であることを示唆した。
学園の利益と保身を優先すれば、不祥事は小さく収めたほうが得なのは当然のことかもしれない。しかし、問題が起きれば厳しく対処し、その事実を公表することが、類似した事案の発生を防止するためにも必要なことではないだろうか。
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毎日新聞 12月19日(月)15時0分配信
高校野球の強豪、私立青森山田高(青森市)野球部の1年生の男子生徒が18日深夜、学校敷地内にある野球部の寮で意識不明の状態となり、搬送先の市内の病院で死亡した。関
係者は「上級生が背中を殴った」と話し、野球部員同士で暴行があった可能性がある。県警青森署が学校から事情を聴くとともに、遺体を検視して死因などを慎重に調べている。
地元消防によると同日午後11時16分に119番があった。高野連関係者によると「野球部の寮で、部員が背中をたたくか押すかしたところ、急に容体が悪くなった」という。
美斉津忠也監督は毎日新聞の取材に「今の段階では何も答えられない。学校側に聞いてほしい」と話した。
青森山田高野球部は甲子園に春夏出場11回の実績がある。同校はサッカーや駅伝など各種スポーツに力を入れ、ロンドン五輪卓球代表の福原愛さん(ANA)らを輩出している。【鈴木久美、宮城裕也】
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学園側(学園本部)が加害者に接触を禁止し、謝罪するなと指示していたのでしょうか?録音があるのであれば公開してほしいです。
投稿: 退職者 | 2011/12/20 04:27
暴力は自分が偉く相手は下であると言う傲慢さからくると思うがどうなのか。そして本当に暴力を地域社会から排除できるのか?高野連がこれまで出場を許すなど暴力を大目に見てきた経緯があるとすれば、それが今回の青森の部員の死亡ということにつながった可能性もあると思う。そうしたことで、一般的に多くの暴力事件は周囲の傍観者の問題である。いじめにしても保身のために見て見ぬふりをせず、仲間や地域で団結して暴力を排除する行動力があれば、多くの暴力は防げるはずである。暴力は社会との交流を欠いた閉鎖的な組織や環境で起こりやすい。地域や社会との繋がり・ネットワークが暴力を防いでくれる。例えば、DVをする夫は、妻の交友関係を気にしてメールをチェックした挙句、妻の交友関係を絶とうとすると言う。妻に暴力をふるったと言う機密が漏えいすることを嫌がるからである。社会との交流を絶とうとするのが暴力をふるう人に付きまとう傾向である。周囲にしてみれば、いじめを注意すると今度は自分がいじめのターゲットになるとか不利益を被ると言う恐怖が傍観者を増やしていると思うが、黙っていれば暴力を肯定していると言われても仕方ないと思う。暴力を平気でふるう人間とは故意には接触しない、交際しない、暴力を恐れないとか、そうしたことで暴力を追放できるはずだが・・・。家族からの虐待や暴力に苦しんだ人たちは手記を出版しているが、これも周囲の人たちの見て見ぬ振りが原因であろう。菊川の件はもう忘れられつつあり円満に和解したのかと思っていたが、逆の方向に行っているかのようで驚いた。
投稿: 退職者 | 2011/12/21 07:32