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2011/12/17

「足利事件」の佐藤博史弁護士が交通事故被害者の依頼業務放置で懲戒処分 〔日弁連・自由と正義〕

9月6日付で、佐藤博史弁護士(新東京総合法律事務所)は所属する第二東京弁護士会から<戒告>の懲戒処分を受けていたが、その事案の内容が日弁連(日本弁護士連合会)の発行する機関雑誌「自由と正義」12月号に掲載された。

同誌の公告によると佐藤弁護士は、交通事故の被害者から損害賠償請求事件を受任し、'03年11月に法テラス(日本司法支援センター)の前身である財団法人「法律扶助協会」Pict0832('07年3月解散)から着手金31万5000円などを受領した。'04年8月頃に、本件の訴状案をイソ弁に作らせるなどしたものの、その後'06年6月に依頼者から問い合わせがあるまで事件を放置。その間の'05年1月に、依頼者の後遺障害による損害賠償請求権を時効にしてしまった、というのが処分の理由だった。

これによって、佐藤弁護士が受けた処分は<戒告>。弁護士懲戒制度に4種類ある懲戒なかで、最も軽い処分だ。一般社会の常識からすれば、佐藤弁護士のやったことは、依頼者に対する重大な瑕疵といわざるを得ない。ところが弁護士自治の慣例では、事件放置なら<戒告>が相場。いたって処分が甘い。しかも損害賠償権を消滅させてしまったのだから、佐藤弁護士が元依頼者から損害賠償を請求されても仕方のないケースといえるが、弁護士を当事者とした訴訟の代理人にならないのが弁護士業界の“暗黙の掟”のようなもの。弁護士を訴えようとしても、引き受けてくれる弁護士を探すのは至難の業で、勝ち目の薄い<本人訴訟>で争うか泣き寝入りをするかの選択肢しかないのだ。

弁護士自治に守られて、弁護士は非行をしても処分がきわめて軽く、一般人よりも訴訟リスクが少ない。そこに弁護士のモラル低下の原因がありそうだが、ともあれ職務の怠慢では相場の処分とはいえ、佐藤弁護士が懲戒されたことは画期的といえる。

佐藤弁護士といえば、<足利事件>と<横浜事件>の再審で主任弁護人を務めた日弁連“イチオシ”の人権派だ。<足利事件>の再審で、菅家利和氏の無罪が確定した'10年3月以降は、警察大学(警察庁)と最高検主催の研修会で講義を受け持ったこともある。特に<足利事件>は、日弁連が取り調べの可視化の実現をめざすための“看板”とした事件だけに、その“立役者”ともいえる佐藤弁護士を懲戒するには第二東京弁護士会も二の足を踏んだに違いない。

実際、これまで佐藤弁護士は数多の懲戒請求をされながら、一度も処分を受けずにきた。その件数は把握できているだけでも、'07年から'10年までのあいだに約20件。そのなかで、処分が未定の事案も含めて、処分が出されたものは1件もない。

この20件ほどの懲戒請求は、いずれも『サンラ・ワールド社』がらみの問題で請求されたものだ。事由は、詐欺的取引の助長や暴言、暴行、報酬等の取りすぎなどさまざま。そして、その半数強は、サンラ・ワールド社の顧客が行った懲戒請求だった。

佐藤弁護士は有名な人権事件に取り組み、早稲田大学法科大学院の教授を務めるなどの名声の裏で、'02年8月から'09年7月までの7年間にわたってサンラ・ワールド社の代理人や法律顧問をつづけていた。それによって同社から、佐藤弁護士が得た報酬等は約2億円だ。

そしてサンラ・ワールド社は、2人の経営者とともに今年4月、金商法(金融商品取引法)違反で書類送検されて現在公判中。今月26日には、同社の実質経営者だった増田俊男氏のPict0870_3論告求刑公判が、東京地裁で開かれる予定だ。起訴された事件は、'07年秋に行われた約3億5000万円の無登録募集のみだが、増田氏らサンラ・ワールド社が海外投資などを名目に集めた資金の総額は約250億円といわれている。その集金活動が行われたのは'99年から'07年だった。それは、佐藤弁護士がサンラ・ワールド社の法律顧問として活躍していた期間の大部分と重なる。その間、出資元本の返金を求めた投資家との紛争を担当し、サンラ・ワールド社を批判するジャーナリストに言論封じの訴訟を起こすなどして、佐藤弁護士は同社らの<サンラ商法>を守ってきたのだ。

しかし、<サンラ商法>は実質上'07年頃に破綻していた。投資先のファンドは総倒れとなり、増田氏らサンラ・ワールド社が集めた資金の大半は、投資家に還らない状況だ。そして増田氏は、捜査機関の調べなどに対して、集めた資金の一部をサンラ・ワールド社の資金繰りや私的に使っていたことを認めている。つまり<サンラ商法>が、公序良俗に反する詐欺的な商法だったことが証明されたにひとしいわけだ。

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サンラ・ワールド社の元顧客が佐藤弁護士の行為について、過去に行った懲戒請求のなかには、詐欺的取引の助長を事由にしたものもあった。これは<弁護士は、詐欺的取引、暴力その他違法若しくは不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない>と定めた弁護士職務基本規程の第14条を根拠としたものだったが、それさえ第二東京弁護士会は退け、佐藤弁護士を処分することはなかった。

もし、懲戒制度が正常に機能していたとすれば、<サンラ商法>の被害の拡大を食い止められていたかもしれないのだ。

今回、第二東京弁護士会が、ありふれた職務怠慢で佐藤弁護士を<戒告>処分にしたのは、その事案が「法律扶助協会」マターだったからではないかと疑いたくもなる。

サンラ・ワールド社側が'09年12月から'10年1月にかけて計8件、佐藤弁護士の懲戒を第二東京弁護士会に請求しているが、約2年を経た現在も同会の綱紀委員会は手続きを終えていない。弁護士自治の不正義はつづいているのだ。

                  記

1 処分を受けた弁護士

氏名    佐藤博史
登録番号 14247
事務所   東京都港区赤坂3-20-6
       パシフィックマークス赤坂見附3階
       新東京総合法律事務所

2 処分の内容  戒告

3 処分の理由の要旨

 被懲戒者は、2003年10月16日に交通事故の被害者である懲戒請求者から法律相談を受け、同年11月10日に同交通事故に基づく損害賠償事件について財団法人法律扶助協会の援助決定を得て、着手金31万5000円、代理援助実費3万5000円を受領した。その後、被懲戒者は、同年12月10日、損害保険会社に対し損害額を積算した請求書を送付し、2004年8月頃、当時の勤務弁護士に訴状案を起案させたが、2006年6月20日頃、事件の進捗状況について懲戒請求者から問い合わせを受けた同弁護士から、懲戒請求者に連絡をするよう連絡を受けるまで、特段の事件処理をせず、その間2005年1月に懲戒請求者の後遺障害による損害賠償請求権を時効により消滅させた。
 被懲戒者の上記行為に、弁護士法第55条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4 処分が効力を生じた年月日

       2011年9月6日

       2011年12月1日
       日本弁護士連合会

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