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2011/12/04

「サンラ・ワールド事件」増田俊男被告の“爆笑”初公判

カナダの小さなIT会社「アリウス3D社」(Arius3D Corp.)のワラント(新株予約権)に無登録で出資を募ったとして、金融商品取引法違反(無登録営業)の罪に問われた『サンラ・ワールド社』元実質経営者で<時事評論家>の増田俊男被告の初公判が、東京地裁で11月29日にあった。

その一部始終を<産経新聞>が克明にリポートしている。文中の「男性被告」が増田被告。「○○弁護士」は'09年7月までサンラ・ワールド社の法律顧問を務め、<足利事件>で菅家利和氏の主任弁護人として名をあげた佐藤博史弁護士(第二東京弁護士会)だ。

「調書に署名全部あるよー」“ドS”女性検事に翻弄されたカリスマ評論家〔産経新聞〕

「調書に署名全部あるよー」“ドS”女性検事に翻弄されたカリスマ評論家
産経新聞 12月4日(日)21時16分配信

【法廷から】「米大統領に原爆投下を謝罪させてみせる」と豪語したカリスマが、法廷で説教に耐える姿を、“信者”たちは想像できただろうか。海外企業の未公開株について無登録で出資を募ったとして金融商品取引法違反(無登録営業)罪に問われた、投資顧問会社「サンラ・ワールド」元実質経営者の男性被告(73)の初公判。弁士として名声をはせた被告が、女性検事の一喝に、沈黙した。(時吉達也)

被告は「時事評論家」の肩書で活動し、多数の講演を行う傍ら「またもやジャパン・アズ・ナンバー1の時代がやってくる」「日本がアメリカと世界を救う!」など多数の著書を出版。愛国心を刺激させる発言とともに、「世界的ヘッジファンドの親玉は友人」と金融のスペシャリストであることを強調、投資顧問業で多くの顧客を獲得してきた。

しかし、近年は投資者との間にトラブルが急増。今回の事件では、カナダのIT企業について「第2のマイクロソフトになる」「上場すれば株価は40倍になる」などと宣伝し新株予約権を販売したが、10年以上上場が実現せず、返金をめぐる訴訟が相次ぐ。平成12~19年にかけ投資家約1千人から50億円を集めたともいわれ、新株予約権を11の個人・法人に計約6200万円で無登録販売した部分について書類送検、起訴されていた。

11月29日に東京地裁で開かれた初公判の冒頭で、起訴内容について「異議ありません」と認めた被告。緊張した様子もなく、弁護側の被告人質問に入ると慣れた様子で「解説」を始めた。

弁護人「無登録の営業で、法律違反という認識はなかったんですか」

被告「一定額で株を購入できる、と約束していた。その段階では、まだ有価証券ではないわけですよね。将来株券として受け取るときには有価証券になるわけですから、複雑というかね」

弁護人「要するに『グレー』であると」

被告「グレーっちゃグレー。認識があったのは隠せない事実ですな」

さらに、弁護人から「サンラ・ワールド」がすでに廃業した点を問われると、被告はうれしそうに現在の仕事について語り出した。

「日本とアメリカで活動していまして、日本では執筆業や経済解説、それに勉強会やセミナーを開いています。海外ではワシントンDCに私のシンクタンクがありまして、シンガポールでも活動を広げています」

「『目からウロコ』というラジオ番組もありましてね、2200回くらい続いた長い番組で、トラブルの後でいったん終了したんですが。また最近、どうしてもと頼まれてしまいましてねえ、7月から放送を再開しております。月曜から金曜で、10分間持っています」

「番宣」まで登場する法廷はなかなかお目にかかれない。“愛国的”主張も往時と変わりない様子で、被告はさらに鼻息荒く続ける。

「日銀に頼まれましてね、食糧問題についてカンボジアに日本の技術を伝えるという、大変なプロジェクトもお手伝いしていまして。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を逆手に、日本が農業を世界に輸出していく機会でもあるわけなんですね」

検察側の質問に移っても事件に対する反省の色は見えないままで、会社の代理人弁護士批判を展開していく。

検察官「登録をしようと思えばできたんですよね。登録が大変だったんですか」

被告「○○弁護士(法廷では実名)に相談したんですがね。実績がないのと、海外の有価証券であるというところで、難しいとは聞いていました。あ、実績がないというのはわれわれではなく、○○事務所が。それで積極的にやらなかったようです」

検察官「別の弁護士に相談すればよかったのでは?」

被告「今にして思えば。○○弁護士との強いつながりがあって、言いたくないが指導力の強い人で、『浮気』できない関係だったんですよね」

女性検事は被告を追及するというより、教授に教えを請う学生のように質問を続ける。

検察官「私も今回のことで勉強する機会に恵まれたんですけれども。『純資産が基準に満たない場合は登録を拒否できる』ということで、サンラの場合は5千万円程度必要だったようですが。それがなかったんですか」

被告「当時その程度はありました。登録を取れたとは思うが、法律上の議論があったんですよね」

検察官「『証券のプロ』でいらっしゃるから。問題があるのは分かっているけど楽な方に解釈してしまった、という感じですかね」

被告「ははは。やっておくべきだったと深く反省していますよ。正直なところ、変な言い方だが『逃げるような』というか。おっしゃる通り」

今回の投資で、出資金は被告が役員に名を連ね、新株予約権を保有するハワイの企業に渡った後で、仲介したサンラ・ワールドにも一部が振り込まれていた。この資金の流れについて尋ねていくうち、にわかに検事の質問のトーンが変化していく。

検察官「警察の調べで、サンラに2億円が流れています。サンラの資金繰りが目的だったんですか」

被告「違います。(新株予約権を)株にしたいという希望が投資家から突如ありまして。ところが予定が外れて上場が遅れて-」

検察官「事情はいいけど、何でサンラに流れたの? 資金繰りでいいの? いいんですね」

被告「はい、そうです…」

質問者の突然の“変化”に戸惑った様子の被告。「スイッチ」を切り替えた検事は、矢継ぎ早に質問を重ねていく。

検察官「資金繰りはわかったんですが、なぜ個人的にも金が使われているんですか」

被告「航空券をクレジット決済したり、世界中を歩き回っていますんで」

検察官「なんで会社を財布にしているの。個人と法人をいっしょくたにしてるでしょ。年間81万円のヘルスクラブとか」

被告「ヘルスクラブは行きましたけど、それは健康のためであって。会社の金で払うのは問題ないと思っていました」

検察官「そりゃー、おかしーわ。俺の金だから、俺のヘルスクラブ代って?」

被告「あの、その…」

検察官「300万円以上、私用にも流れているでしょ」

被告「いや…」

検察官「違うの? そうなの? ワンマン社長だからって何やってもいいわけじゃないでしょ! どうなの!」

被告「サンラの社長は私ではなく…」

検察官「登記簿の話を聞いてませんよ。弁が立つからっていろいろいうけど、おかしいでしょ!」

追及の手を緩めない検事。被告はすっかり動転し、十分に返答できない様子だ。

検察官「個人の不動産を会社の金で買っていますよね」

被告「個人名義では買っていません」

検察官「個人的に、と供述しているでしょ?」

被告「もうかった金をじっと置いておく必要はない。当然投資して、それは事実で…」

検察官「はいー、供述調書にあなたの署名、全部あるよー? 『個人で360万円使い、国外では71万5700米ドル』…はっきりと! 違うの?」

被告「いいえ…」

検察官「違わないのね? はーい」

「持ち上げて落とす」という“異色”の被告人質問は終了。裁判官は論告求刑公判を26日に行うことを告げ、閉廷した。

数々の講演で聴衆を熱狂させてきた被告は、巧みな話術を封じられ「ムチで連打される」展開を予想できただろうか。一方の女性検事は閉廷後、背中を丸めて下を向き、先ほどまでの風格が嘘のようにそそくさと法廷を後にした。

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