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2012/07/13

「虚偽DV」の証拠に悪用される診断書① 「日赤病院」が無診察で交付した診断書で“精神病のDV夫”に仕立て上げられた慈善家の苦難

面識もなく、診察も受けていない医師に無断で交付された精神科の診断書のせいで“DV夫”の濡れ衣を着せられ、職を失うなどの大きな風評被害に遭いました。精神科の診断書は、まったくデタラメで信じられない──。

4日、『日本赤十字社』(東京都港区)を相手に損害賠償を求めている裁判で、弁護士との打ち合わせをするために静岡から上京した元社会福祉法人理事長の大亀谷信彦さん(仮名)は、怒りに声を震わせた。

大亀谷さんは元妻と'09年3月に離婚。その調停のなかで'07年3月、元妻側から提出された“証拠”をみて愕然とする。それは『静岡赤十字病院』(静岡市葵区)の精神科医師が、'98年11月16日付で発行した大亀谷さんの<診断書>と同年12月17日付の紹介状(診療情報提供書)だった。

診断書に記されていた病名は「神経症(嫉妬妄想の伴う)」。そして、紹介状の<症状経過・治療経過及び検査結果>の欄には、こう記入されていた。

H6年に定年退職してから、夫人の外出を気にする傾向。次第に夫人に対する性的いやがらせ、暴力、嫉妬妄想あり。夫人、二女、三女の職場に現実には有り得なかった不正のことを書き送り、結果的に三人とも失業に追い込まれている。

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しかし、大亀谷さんは診断書と紹介状を書いた医師の診察を受けたことは一度もなく、元妻ら家族3人が失業した事実もなかった。

静岡赤十字病院で大亀谷さんが、診療を受けたことはある。ただし、それは'96年7月22日から'97年2月12日までのあいだのことで、診断書の作成日から約1年9ヵ月も前に通院を終えていた。

その受診をすすめたのは元妻だった。

「イビキがひどいから、病院で診てもらったほうがいい」

元妻から促され、静岡赤十字病院へ足を運んだ大亀谷さんは、イビキの治療のためと信じて耳鼻咽喉科の待合席で診察を待った。ところがアナウンスで名前を呼ばれたのは、精神科だったという。そこで大亀谷さんは、元妻が自分には内緒で精神科に予約を申し込み、耳鼻咽喉科の治療と偽って病院へ行かせたことを知る。

通院したのは計3回。大亀谷さんは、みずから医師に申し出てCTスキャンも受けたが、<治療の必要なし>との結果で診察は終了したという。

ところが、それから約10年を経て、元妻が申し立てた離婚調停に〈神経症〉の病名などが記された診断書と紹介状が提出されたのだ。

それが発行されたのは、いずれも大亀谷さんが通院を終えてから2年近くあとのこと。しかも、作成者は受診した医師とは別の、まったく面識のない医師だった。

受診した覚えのない診断書が出されていたことに驚いた大亀谷さんは、静岡赤十字病院に抗議するとともに、自分のカルテ(診療録)などの開示を求めた。そして、入手したカルテには〈再来初診〉と記載され、〈現病歴〉の欄にはDV(ドメスティックバイオレンス)について書きこまれていた。

嫉妬妄想 夫が3年間 興信所、つけ続ける

アルコール常用、子供へも暴力あり
夫人について 社会福祉のことで不正をしていると公的機関に訴えることがある。
3女 夫人と一緒の職場に行っている。立ち直った
2女 ※(解読不能)と同居。暴力振るわれている。

しかし、大亀谷さんが静岡赤十字病院で“再来初診”を受けた事実はない。元妻が本人に隠れて、ひとりで病院を訪れて再診を受けていたのだ。カルテに〈夫が3年間〉と書かれていることからも、元妻への問診よるものだということがわかる。患者本人に病識がないことも多い精神科の診療では、家族の代理受診はありがちのようだが、再診時には大亀谷さんと元妻は別居中だった。

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診断書の発行日と同じ'98年11月16日に作成されたレセプト(診療報酬明細書)に<保険証Shindan03記号番号不明>のスタンプが捺されているのは、別居していた元妻が大亀谷さんの保険が変っていたことを知らず、保険証を提示することもできなかったからだ。<H10.12.17の時点で保険がかわっており、本人あてに請求の手紙を送ったところ、本人は受診していないのにおかしい、とのこと>と、カルテにも元妻の代理受診だったことを示す記録がある。

こうして静岡赤十字病院の医師が、再診時に本人の問診(医療面接)を一度もせずに発行した診断書と紹介状によって、大亀谷さんは精神病のレッテルを貼られてしまった。

離婚調停は不調に終わり、その後に訴訟へと移行した。そして裁判は、控訴審まで争われたが1審2審ともに大亀谷さんが敗訴している。

判決は「神経症との診断を受けていたことは否定しがたい」と認定。裁判官が、元妻側の主張を全面的に認める決め手となったのは、静岡赤十字病院の交付した診断書と紹介状だった。

2月19日、『親子ネット』(親子の面会交流を実現する全国ネットワーク)が文京シビックセンター(東京都文京区)で、<親子引き離しの元凶 「DV悪用」「診断書悪用」を追及する!> と題したシンポジウムを開いた。

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離婚紛争で親権などを獲得するため、あるいは離婚後に親201202191258231権者または監護者になった方の親が、もう一方の親の面接交流権(子どもと会う権利)を拒否するために虚偽のDVを主張することがある。このシンポジウムでは、ウソや極端な誇張などが疑われる非常識なDVと、その証拠として悪用された診断書の実例が報告された。大亀谷さんのケースも、悪質な例のひとつとして取り上げられている。

メイン講師を務めた大正大学の青木聡教授は、講演のなかで“健全な診断書”について「201202191258234常、診断書は『本人診察』で、3回から5回の診断面接を経て出される。精神科の診断では、いくつかの心理テストを組んで、数回かけて検査をやって診断書を書くのが一般的」と述べた。また青木教授は〈医師法〉の規定を挙げて、診断書の作成に虚偽記載などの不正があった場合の罰則についても言及した。

医師法第20条は、<医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書を交付してはならない>と定めている。大亀谷さんの医療面接をせず、別居中だった元妻の代理受診だけで診断書を書いてしまった医師は、この規定に違反していなかったのだろうか。と201202191258236もあれ、問題の診断書は14年近くもむかしに発行されたもの。刑事事件としては、すでに時効が完成している。医師が刑事責任を問われることはないが、その診断書の“呪詛”は長い年月を経てもなお、大亀谷さんを苦しめつづけているのだ。

医療機関の権威に“精神病のDV夫”のレッテルを貼られたことの不利益は、離婚裁判に負けたことだけではすまない。それをもとにした風評被害で、みずからが設立し、23年ものあいだ務めた社会福祉法人の理事長の職を解かれたほか、長年にわたって児童や高齢者の福祉に携わってきた名誉も失墜したという。

これまで診断書と紹介状の白紙撤回を病院側に要求しつづけて応じられなかった大亀谷さんは昨年10月、静岡赤十字を経営する日本赤十字社を相手どり、慰謝料など330万円の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こした。

この裁判は、被告の日本赤十字社側の申し立てによって静岡地裁へ移送され、今年3月に同地裁で第1回目の口頭弁論が開かれている。今月19日には、弁論準備手続きが行われる予定だ。

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コメント

DVでもセクハラでも事実確認を尽くさず、人から聞いた意見を鵜呑みにして診断書を交付し、後日冤罪であることが分かった時の責任は極めて重大であろう。冤罪のみならず、虚偽の告訴の手助けもしてしまうのであるから、交付前に客観的に事実確認を尽くすことが先決である。大津のいじめ事件でも事実確認を尽くさなかったことが、今になって責任追及されている。

投稿: 退職者 | 2012/07/14 11:29

公務員の5人に1人が反社会的勢力から押し売り勧誘を受けたり、クレームをつけられ示談を求められた経験があると言う。証文・書面重視の傾向、録音機器などがなかった時代には、合意の存在を容易には証明できなかったので唯一書面を重視するのも分からぬではない。だが、今では録音機も普及しており、書面があっても録音により脅迫や詐欺、錯誤が証明でき、その場合には積極的に書面は効力を失うとすべきで、それによって書面全体の信用も高まる。むしろ、違法なやりかたで公布された書面だと言うことが分かれば、書面の無効化のみならず、かえってそうしたやり方をとって書面を書かせた人に積極的に責任を負わせるべきである。事実確認をせずに書面が出されることは大問題で、暴力団やクレーマーなどはむしろ事実確認を嫌がり、すぐに念書や示談書、謝罪文を書かせ、書面をもって自分の恐喝や強要を正当化しようとする。警察や裁判所は、書面があるのだからとしてそれ以上追及しないのではなく、録音等により脅迫や詐欺が疑われる場合は、書面自体を書かせると言う強要があったことを前提に、積極的に書面を無効化するべきである。捜査が面倒だなどと言うのは捜査をしない理由にはならないだろう。虚偽の診断書にしても、クレーマーの書かせる一筆にしても悪用が止まらなければ、全ての診断書や示談書の信用が失せてしまいかねない。証文をタテに法的に開き直ったとしても、かえって違法なやり方で証文を書かせれば社会的信用を失うのではないだろうか。

投稿: 退職者 | 2012/07/15 20:03

「損保犯罪被害者の会」です。当方も無診察で提出された診断書に苦しめられています。

よかったら、ブログ見て、ご連絡頂けたら幸いです。

投稿: 損保犯罪被害者の会 | 2013/04/22 22:27

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