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2012/07/17

「虚偽DV」の証拠に悪用される診断書② ウソの主張で不当に子どもを連れ出した親が勝つ「単独親権」法の穴

元プロジャズドラマーの吉田正廣さんは今年1月30日の朝、登校する途中だった小学1年生(当時)の自分の長女を、愛媛県東温市の小学校正門近くでクルマに乗せて連れ去った。

それから19日後の2月18日、吉田さんは長女との逃避行の末、静岡県の伊豆半島東岸の小さな町の民家にいたところを愛媛県警松山南署などに〈未成年者略取〉逮捕される。

この事件で、吉田さん親子と行動をともにしていた探偵業の男性も逮捕されている。探偵は、神奈川県小田原市内から4歳の自分の娘Photoを連れだしていた。吉田さんと探偵は、親子交流を考える団体を岐阜で主宰している男性の紹介で知り合い、“わが子の奪還”という共通の目的を持ってタッグを組んだらしい。逮捕時、探偵は妻に娘を連れ去られてから約1ヵ月。離婚はまだ成立しておらず、探偵にも親権があった。

しかし吉田さんの場合は、元妻との離婚は事件の約3年前。長女の親権者は元妻だった。吉田さんと暮らしていた横浜から、元妻は愛媛の実家へ長女を連れ帰っており、親権のない吉田さんは、わが子とほとんど会えない状況がつづいていたという。

'10年1月にも吉田さんは、長女を保育園から連れ去る事件を起こして逮捕され、〈未成年者略取〉の罪で執行猶予付きの有罪判決を受けていた。今回の事件は、執行猶予期間中の再犯。逮捕されれば、まず実刑をまぬがれない。それを承知で、わが子を愛しむがゆえの“悲壮な決意”をもって実行した事件だった。

逮捕後に吉田さんは、留置場のなかから横浜市鶴見区内に住む自分の両親へ送った手紙に、こう記している。

201203252045402たった20日間の逃避行だったけど、やって良かった。

あのまま死んだ様な毎日を何年も送るなら、たとえ投獄されようとも思い残す事はありません。

まわりの人達に多くの迷惑をかけてしまった事は本当に申し訳なく思っていますが、※※(長女)の心にも自分の心にも、今回一緒に過ごせた事は、何年も忘れることのない大切な思い出になったと思います──。

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2度目の事件で逮捕されるまで、吉田さんは親子が断絶することのない社会の実現を願うコンサート活動を行うなど、精力的に〈共同親権〉の推進を求める活動に取り組んでいた。

先進国のなかで唯一、離婚後の父母の〈共同親権制〉をとっていない日本では、どちらか一方の親が子の親権を失う。

厚生労働省の統計によれば、離婚する夫婦は毎年25万組前後。そして、その約3分の2の親が離婚後に、ほとんどもしくはまったく子どもと会えなくなっているといわれる。

〈単独親権〉といえども、親権者または監護者にならなかったほうの親に〈面接交渉権〉はある。それは親にはあって当然の子どもと会う権利なのだが、親権者側の親に無視されることも少なくない。また、家事審判や家事調停で面接交渉を認める具体的な取り決めをしていたとしても、約束がホゴにされることもあるのだ。そうなった場合、家庭裁判所に対して履行勧告を求める申し立てをすることはできる。が、逆に親権者側の親にも〈面接交渉権〉の制限や停止を求めて法的に対抗することも可能。いずれにしても現行法の規定では、親権者または監護者となった方の親が面接交渉を拒めば、もう一方の親が子どもに会えなくなるのが現状だ。

原則としては、正当な理由もなく、一方の親に子どもと会わせないようにはできない。しかし〈面接交渉権〉は、子どもの面接にかこつけて復縁を迫る行為や、親権喪失事由に相当するような不行状があるなどの場合には、法的にもその制限または停止が認められる。なかでも、面接交渉の拒否にもっとも持ちだされることが多いのが、“DV被害”の主張だ。

茨城県内に住む若松賢治さん(仮名)の妻は、いまから約3年前の'09年8月6日の夜、2人の幼い子どもを連れて忽然と姿を消す。それは若松さんが仕事部屋に入っていた、ほんの1時間ほどのあいだのことだった。携帯電話もつながらず、方々を探し回ったが妻と子どもの行方はつかめない。一夜が明け、駅前の交番所を訪ねた若松さんが「昨夜に、妻と子どもがいなくなった」と届け出ると、途端に応対した警察官の表情が険しくなった。「奥さんに暴力をふるってますね」と聞かれ、釈明しようとすると、警察官から「オマエは逮捕あつかいだからな」と言われた。その翌日から県警本部の生活安全課に日参した若松さんは、妻が〈DV防止法〉の適用を受けて、子どもとともにDVシェルター(保護施設)に保護されていたことを知る。

6日後にシェルターを出所した妻は、子どもを連れて兵庫県宝塚市の実家へ行った。それから3年近く経った今も、妻との離婚裁判を係争中だ。家出した妻に無断で連れ出された以降、子どもとはほとんど会うこともできず、電話で話すことすら許されない状態がつづいている。

妻側の代理人の弁護士は、女性のDV被害などの分野で活躍してきた佐藤功行(兵庫県弁護士会)だった。

裁判は調停が不調に終ったのちの'09年12月、妻側から提起(提訴後に若松さん側が反訴)された。離婚と子どもの親権、慰謝料の支払いなどを求めたこの離婚訴訟で、妻側は7件の具体的な夫の暴力を主張する。

しかし'11年4月18日に出された水戸家裁龍ヶ崎支部の判決は、DVの被害を受けていたとする妻側の言い分については、<信用することはできない>などとしていずれも認めず、<原告(妻)は,自身の陳述書(甲4)における原告の母の発言内容なども事実と異なる内容を記載するなど,自己の主張,意見を通すためには虚言を述べることを躊躇しない性質であると言わざるを得ない>と判示。<被告と原告との婚姻関係は,原告の被告に対する暴力や遺棄により破綻しているものと認められる>とし、妻側の請求とは逆の“妻の夫に対する暴力”を認定したのだ。また、さらに根拠もなく子どもに会わせないようにするなどした妻の行為を〈悪意の遺棄〉とし、ふたりの子の親権者を夫である若松さんと定めたうえ、妻に養育費と慰謝料の支払を命じた。

この1審判決を不服として、妻側は東京高裁に控訴する。それと同時に、妻は若松さん側に対し、代理人の佐藤弁護士を介して「今後の父子面会を中止する」との通告をした。

東京高裁の控訴審で判決があったのは、今年5月31日。夫に対する暴力や〈悪意の遺棄〉など、妻側の非を全面的に認めた水戸家裁龍ヶ崎支部1審判決の事実認定を支持しながらも、東京高裁の2審判決は子の親権者を妻に変更した。その理由は〈別居期間も既に約2年8か月を超え、この間、被控訴人と長女及び二女との2回の面会を行ったものの現在は途絶えている状況にあって、両者の関係が改善する兆候はうかがえない〉という、ただその一点のみだ。

しかし、2人の子どもは妻が家出する際に無断で連れ出してしまったために、若松さんは会えなくなっていた。そして、その後も妻は若松さんの面接交渉に応じず、“約2年8か月”の別居期間は、そのすべてが1審判決の認定した〈悪意の遺棄〉の期間と重なる。しかも、子どもを若松さんに引き渡すことを命じた1審判決のあと、控訴したことによって判決が確定してないことから、妻側は〈父子面会の中止〉を宣言して〈悪意の遺棄〉を継続させていた。子どもの親権を争う訴訟で、その係属期間中の親子の別居を判決の根拠とする。それではまるで、裁判所が婚姻中の親権を侵害したにひとしい。

まさに、最初に連れ去ったもの勝ち。ウソの主張をして、法を悪用した方が得をしてしまうことになる。

だから離婚事件や〈面接交渉〉の拒否に、虚偽のDV被害を申し立てる者があとを絶たない。その“詭計”の証拠として悪用されるのが、医療機関が発行する診断書なのだ。“詐病”にありがちな、いかにもウソ臭い患者の言いなりに、きわめて安易に“濫発”されてしまう医療証明書。そして、それを悪用した弁護士らによる“虚偽DV離婚ビジネス”について、<NEWS RAGTAG>は今後もリポートしていく。

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