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2012/08/03

「虚偽DV」の証拠に悪用される診断書③ 警察のDV被害者サポート強化の一方で懸念される「DV防止法」悪用の“冤罪”増加

「殺してやる!」

突如として激昂した丸岡智伸(仮名)は、馬乗りになった九条礼子さん(同)の顔をめがけて、固めた拳を何度も叩きつけた。

顔面が腫れあがるほど殴りつけたあと、丸岡は傍にいた自分の後輩の男に顔を向ける。

「おまえ、首の締め方を知ってるか? テレビでやってるみたいに、力はいらないんだぞ」

そう言うと、九条さんの首に手をかけた。3本の指を首筋にあてがい、気道と動脈をじりじりと圧迫していく。

「ほら見てみろ。顔がどんどん青くなっていくだろ?」

丸岡は、自分の力をひけらかすかのように首を絞めた。息ができず、身動きすることすらできなくなっていた九条さんは、遠のく意識のなかで<三途の川>のまぼろしを見たという。

さいわい、丸岡が手を緩めたことで大事にはいたらなかった。この日の暴力で死の淵を彷徨った九条さんだったが、それでも丸岡と別れる決心がつかず、その後もずるずると同棲をつづけた。

デザイナーの仕事をしていた丸岡と、九条さんがインターネットのチャットを通じて知り合ったのは'03年。交際をするようになってまもなく、九条さんは自分のマンションに丸岡を迎え入れDvて、同棲するようになる。それから暴力がはじまるまでに、わずか2ヵ月ほどしかなかった。

殴る蹴るの暴行は、たびたびあった。髪を掴まれ、階段を全裸で引きずり落とされたこともある。血まみれになった半裸の姿でマンションから脱出し、助けを求めて近所のコンビニに逃げ込んだこともあったという。

ほんの些細なことでキレて、いつ振るわれるかわからない暴力。その恐怖に怯える日々が2年あまりもつづいた。

九条さんは'06年、丸岡を相手に約660万円の損害賠償を求める民事訴訟を東京地裁に起こした。暴力の証拠はいくつも残されている。殴られて、無残に腫れあがった九条さんの顔や、丸岡に破損されたパソコンや和服を撮影した写真などだ。そして裁判所は、請求どおりの満額の賠償金の支払いを丸岡に命じ、九条さんの完全勝訴となった。

警察庁のまとめによると、今年1月から5月までのDV(ドメスティックバイオレンス)の認知件数は1万6960件。前年の同時期に比べて3000件多いという。昨年末に起きた<長崎ストーカー殺人事件>などの重大事件の影響で、相談件数が増加したものとみられるが、さらに警察庁は先月、DVやストーカーの被害者支援の対策強化を推進することを発表している。

家庭内もしくは男女間の暴力に対する捜査機関の積極的な取り組みは、凶悪事件を防止するためにも必要なことだ。また、警察が被害者の意思表示を促すことは、パートナーとの共依存的な関係を断ち切ることができず、警察沙汰にすることをためらいがちな潜在被害者の救いにもなる。

だが、DV防止啓発の高まりは、一方で“冤罪”を増加させる恐れもはらんでいる。

<DV防止法>は、配偶者や恋人による暴力から、被害者を保護することを目的とした法律だ。その申し立てには、暴力があったことを厳密に証明する必要はなく、裁判所は相手方の反論を聞かずに保護命令を発することができる。加害者とされた側に、釈明の機会が与えられるのは、保護命令に対する即時抗告のみ。しかし“悪魔の証明”の困難性もあって、加害者とされた側の主張を聞き入れてもらえる余地はほとんどない。

特に妻側が「DVを受けています」と申し立てれば、それだけで真偽をろくすっぽ検証されることなく、その夫は法的に“DV男”のレッテルを貼られてしまうのだ。

ただでさえ、冤罪の温床となりやすい仕組みの<DV防止法>だが、さらに処罰の甘さがウソの申し立てに拍車をかける。保護命令手続の申し立てに<虚偽告訴罪>は適用されない。仮にDV被害の申告が虚偽だったとしても、その罰則規定は<10万円以下の過料>という、きわめて軽いもの。だからDVは一般刑法犯よりも、はるかにたやすく冤罪がつくられる。

DV冤罪の多くは計画的に仕組まれる。その目的はおもに、高額な慰謝料や子どもの親権と慰謝料の獲得など、離婚の際に有利に立ち回ることにある。実際、夫を欺きながら何年もかけ、コツコツと準備していた証拠をもとに虚偽のDV被害を主張した妻の例もある。女性人権団体や“離婚弁護士”が「DVを主張すれば有利に離婚できる。いまのうちに証拠を集めておきなさい」などと、当事者に入れ知恵をして、冤罪づくりに加担することもある。

<DV防止法>そのものに罰則はなく、保護命令に違反しないかぎり、刑罰(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)を受けることはない。しかし、保護命令の発令という既成事実は、のちに家事・民事事件で悪用され、加害者とされた側に深刻なダメージをもたらすのだ。

茨城県内に住む若松賢治さん(仮名)も、妻から虚偽のDVを主張された冤罪被害者のひとり。いまから3年前、まったく身に覚えのない虚偽のDVで妻が警察に駆け込み、自分の子どもとろくに会うこともできなくなった<DV冤罪被害者>の若松さんから、元<DV被害者>の九条さんが話を聞いた。

妻側から子どもの親権や養育費、慰謝料などを求める離婚訴訟を起こされ、わが子を連れ去られた若松さんの裁判闘争はいまもつづいている。これまでの経緯については<NEWS RAGTAG>の過去記事<『虚偽DV』の証拠に悪用される診断書②>を参照してもらいたい。若松さんが着せられたDVの濡れ衣は、離婚裁判で晴れている。

妻側が主張した7件の暴力の被害は、そのいずれも<信用できない>として1審、2審ともに退けられた。そして裁判所は、逆に妻の若松さんに対する2件の暴力があったことを認定している。

その妻の暴力とは、まず若松さんの手に噛みついて負傷させたことが1件。そして、もう1件は、若松さんが食べられないヤマイモを食べさせた、というもの。若松さんは子どものころからのヤマイモ・アレルギーだった。それを知りながら、千切りにしたヤマイモを大根サラダのように“偽装”し、騙して食べさせたというから悪質だ。

若松さんの場合もそうだが、あきらかなウソもしくは言いがかりとしか思えない主張をする<自称DV被害者>の妻は、実際は加害者だったのではないか、と疑いたくなるようなケースが少なからずある。

『親子ネット』(親子の面会交流を実現する全国ネットワーク)が今年2月に開いたシンポジウムのなかでも、離婚事件で主張された“トンデモDV”の事例が報告された。「家の中の引き出しを3つ以上は開けてはならない」というルールを夫が違反したことについて、妻側がDVだと主張したケース。ほかにも、寝起きの悪い妻を起こしたこと、散らかし放題の妻に洗濯物をたたむように注意したことなどの夫の行為を、DVだという妻などの“珍例”が挙げられた。これらの親子ネットの報告は、動画<虚偽DVに悪用 日赤病院 無診察「診断書」で精神病の風評被害>の後半に収録してあるので、そちらを視聴してほしい。

【2012.03.26】 親子ネット講演会 レポート 親子引き離しの元凶 『DV悪用』『診断書悪用』を追及する!

誰の目からみても「被害」と言えるだけのDVが本当にあれば、九条さんのケースのように証拠・証言には事欠かないはず。ところが虚偽や言いがかりのDVには、それがない。そこで手軽に入手できて、悪用されやすいのが医療機関の発行した診断書だ。

医師の作成した診断書は、正規の鑑定書とする最高裁の判例もあり、法的にも証拠力を高く評価される。が、医師法の規定によって、医師は患者から依頼されれば、正当な理由がないかぎり診断書の作成を拒否できない。証拠力があって入手が簡単。だから、ウソのDVの証拠に診断書は悪用されやすいのだ。しかし、医師は医師法の規制もあって、虚偽の診断内容は記載できない。そこで虚偽のDVは、実際に外傷がなければ証拠をつくれない身体的DVを避け、精神的DVを主張することが多くなる。モラルハラスメントを受けたことによる精神疾患などと称して、精神科や心療内科の診断書を証拠にするのだ。

虚偽のDV被害を主張する者もいれば、DV加害者には平気でウソをつく輩も少なくない。そのため動かぬ証拠がなければ、どちらの言い分が正しいのか、第三者がその真偽を見きわめることは難しい。だが、虚偽の場合は、いかにも不自然でウソ臭い主張であることが多々ある。それは、本当のDV被害者の心情を理解できていないからだろう。

また、加害者とする相手と、別れることに共依存的な葛藤がみられない自称DV被害者は、ウソを疑ってみたほうがいいのかもしれない。

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