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2013/03/26

<弁護士と闘う!>と提携する太田真也弁護士(神田のカメさん)が行政書士と闘う<かなめくじウォーズ>端緒の「ナマコ詐欺事件」を追う ②

「高齢者の方々が、何十年も働いて貯めた大切なお金をだまし取る『振り込め詐欺』をやっているという認識は、最初からありました」

<ナマコ詐欺事件>で懲役4年6月の実刑判決が確定している受刑者のOは、同事件で組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の罪に問われている『南洋』社長・中元雅二被告の3月21日に開かれた公判で、検察側の証人として証言した。

O証人は、『南洋』の傘下にいくつかあった詐欺の<実行部隊>のグループのひとつで、大久保雄太被告(組織的詐欺罪公判中)が率いた「大久保グループ」に所属する末端のメンバーだった。

トビ職人だったO証人が、トビの先輩の大久保被告から「営業職の仕事がある」と誘われ、中元被告とホテルオークラ東京の1階にある「バーハイランダー」で面接したのは'11年の1月。そのとき彼は、業務の内容が明らかな詐欺だったことから、警察の捜査などに対する不安を漏らした。

すると中元被告は、こう答えたという。

「配当金を(被害者に)払っているから大丈夫だ。それに中国とサイパンがバックについてる。国と国との国交問題になるから、警察は(南洋に)手が出せない。仮に、警察が乗り出すようなことがあったとしても、かならずキミたちを守るから安心しろ」

それからO証人は、警視庁に逮捕される前日の'12年2月19日までの1年余り、月額15万円というわずかな給料で詐欺の<実行部隊>として働くことになった。

『南洋』の事務所とは別に設けられた"秘密アジト"に詰めたO証人ら<実行部隊>は、カモリスト(詐欺や悪質商法の被害者名簿)をもとに勧誘を行っていた。

電話をかける<掛け子>が演じた役回りは三つ。まず、一つは「ワールドオーシャンファーム」や「オールイン」などの詐欺会社の<元社員役>だ。加害会社の元社員を装い、詐欺の被害に遭った人たちに片っ端から電話をかけて、「××社で損害を受けたお金が返ってきます」などと持ちかける。その話に相手が興味を持ってくると、<元社員役>は「日本返還救済協会(SSJP)」などの架空の救済団体と連絡を取ることをすすめる。この救済団体の団体員を演じるのも、<元社員役>とおなじアジトに詰める別の<掛け子>だ。

そして「返金の手続きにかかる費用を、信用できる会社が発行する社債の配当でまかなってください」と"救済団体"が推薦した優良企業として、最後に登場するのが『南洋』の社員役を演じる<掛け子>だった。

O証人は<元社員役>を担当していたが、被害者から現金を受け取る<受け子>の役目もさせられた。振り込め詐欺に使われたとして、南洋の銀行口座が<振り込め詐欺救済法>に基づいて凍結され、新たに口座を開設することもできなくなったからだ。

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詐欺会社の元社員を装って偽名で電話勧誘し、本名を刷り込んだ名刺を持たされ、『南洋』の社員として被害者から直接集金する。その現金は、平日なら三会堂ビル(東京都港区赤坂)にあった『南洋』の事務所へ届け、ほとんどは社長の中元被告に直に手渡した。また、事務所が閉まっている土日には、銀座などで中元被告と落ちあって引き渡している。

そんなリスクの高い一人二役をこなしていたO証人に、中元被告は「もしも警察に捕まったときは、『ただ現金を取りに行っただけだ』と言え」と指示していたという。

'12年2月20日に逮捕されたO証人は、捜査段階では頑なに黙秘を通したが、裁判では実刑判決に控訴もせず、刑が確定している。ところが一方、逮捕前には「かならず守る」と言っていたはずの中元被告が、法廷で「(大久保グループなどの)詐欺グループが勝手にやったことだ」と証言し、現在もなお<無罪>を主張しつづけているのだ。

そのことに対する怒りもあってか、逮捕後の独居房の中で罪を悔い改めたというO証人は、厳しい口調で中元被告の主犯性を訴えた。

「中元さんは南洋の社長で、被害者からお金を回収することもやっていた。中元さんは詐欺のトップ。大久保の上です。やっていたことは、高齢者をだます振り込め詐欺。もしも自分の祖父母が、同じような手口で被害に遭っていたら、絶対に許せなかったと思います」

『南洋』の手口は、典型的な<被害回復型>の詐欺だった。公的機関の名を騙ったり、月々1000万円という常識ではあり得ない高額な配当や、元本保証を謳うなどの勧誘もしていた。

絵に描いたような詐欺の手口。一見して真っ当な会社とは言いがたかった『南洋』。その怪しさもあってか、金融商品取り引きを名目にした詐欺にしては比較的短命だった。

投資詐欺は一般に息が長い。主宰者が配当の支払いをつづけ、返金請求に応じているうちは被害が表面化しないからだ。集めた資金を配当などにまわしているだけの自転車操業であっても、それが破綻するまでは、警察も捜査介入しようとはしない。

ところが『南洋』の詐欺行為は、わずか14ヵ月ほどで終焉を迎えた。

彼らの"営業"が始動したのは'10年12月。その翌年の'11年8月頃には、はやくも被害者か3ら返金を求めるクレームが増えはじめた。『南洋』の口座が金融機関に凍結されたのも、この頃だった。そして、それから半年ほどのちの'12年2月に警視庁の強制捜査が入り、中元被告ら17人が逮捕されている。

『南洋』の"詐欺稼業"を短命にした原因のひとつに、インターネット上の批判があったのかもしれない。少なくとも中元被告は、それを強く意識していたようだ。

前回の中元被告の公判で証言台に立った元幹部のA証人の証言からも、インターネットの批判記事の削除対策に、中元被告が躍起になっていた様子がうかがえた。

「ネット上の評判を、中元社長は『デタラメだ』と言っていました。『ネットの書き込みを削除させている。裁判所への(仮処分の)申し立てや、検索で表示される順位を変えさせるなどの手配している』などという話を('11年)11月下旬に聞いていました」

実際、『南洋』の営業の違法性を指摘し、批判したインターネット上の書き込みは、わりと早い時期からあった。そのなかのひとつが、藤田泰裕行政書士が運営するブログの記事だった。悪質商法と闘ってきた藤田行政書士は、'11年5月に知人の女性が『南洋』から電話で勧誘を受けた内容を聞き、「被害回復型の詐欺ではないか」との疑いを抱いた。そして同年6月と9月に、2回の批判記事を書く。するKame_ininと2回目の記事を公開した翌月の10月5日、藤田行政書士の事務所の一通の内容証明郵便が届いた。

それは『南洋』に関するブログ記事の削除を求める通知書だった。

差出人は、『南洋』代理人の太田真也弁護士(神田のカメさん法律事務所)。この通知書が、のちに藤田行政書士と太田弁護士とのあいだに起きる<かなめくじウォーズ>の発端となる。

つづく

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