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2013/05/28

<南洋株式会社>ナマコ詐欺事件 高齢者らを食い物にした「被害回復型」だましの手口

乾燥黒ナマコ事業への投資などを名目に高齢者など290人が現金をだまし取られた<ナマコ詐欺事件>で、組織犯罪処罰法(組織的詐欺)違反の罪に問われている『南洋株式会社』社長の中元雅二被告の公判が24日、東京地裁であった。

この日の公判では、同事件で被害者の勧誘を行なっていた<実行部隊>のメンバーのひとりが検察側の証人として出廷。「勧誘部隊が勝手にやったこと」などとして、詐欺への関与を否定しつづけている中元被告の主張を覆す証言をした。

証言台に立ったのは<実行部隊>のナンバー2とされた男で、すでに懲役7年6月の実刑判決が確定し、現在服役中のⅠ受刑者。逮捕された当初は、事件関係者からの報復を恐れて黙秘していたⅠ受刑者だが、勾留中に被害者に対する謝罪の気持ちなどから反省し、罪状を認めたという。

『南洋株式会社』の<実行部隊>は複数あったが、そのなかのひとつで、現在公判中の大久保雄太被告が率いた<大久保グループ>に、Ⅰ受刑者はいた。<大久保グループ>の初期のアジトは、東京都港区赤坂のマンション「赤坂七番館」の一室にあった。わずか15畳ほどのスペースにⅠ受刑者を含む12、3人の“架け子”が詰め、詐欺の電話勧誘を行なっていたという。

その手口は、まずⅠ受刑者らがインターネットなどで、“カモリスト”といわれる投資詐欺の被害者の名簿を購入する。そして、この名簿をもとに、加害会社の元社員になりすました“架け子”が片っ端から電話をかけていく。

「スイスの隠し口座に隠されていた資産がみつかりました。これで、あなたが被害に遭った損失金を取り戻すことができます」

電話に出た被害者が関心を示したら、こう切り出す。

「返還されるお金を受け取るには、救済団体に連絡をとって手続きをする必要があります」

<元社員役>は救済団体を紹介するが、それは実在はしない団体だった。被害者が電話をかけ、つながるのは<元社員役>が詰めているアジトの別の電話。応対するのは、救済団体員を装った“架け子”だ。『南洋株式会社』の詐欺の<実行部隊>は、こうした架空の団体名をだいたい2ヵ月ごとに変え、使った名称は10を超えるという。警察への被害相談の件数が、同じ名称で増えれば、それだけ摘発を受けるリスクが高くなるからだ。

<団体員役>の“架け子”は、問い合わせのあった被害者に対して、最初にアプローチした<元社員役>のすぐ傍でウソの説明をする。

「あなたの損害を受けたお金を返す手続きをすすめるには、被害額の30%に相当する有価証券を預けていただかなければなりません」

そして、被害者が<団体員役>から「信用できる優良な会社」として紹介されるのが『南洋株式会社』。応対するのは、同社の社員を名乗る詐欺の<実行部隊>の“架け子”だ。この<社員役>を担当していたのがI受刑者だった。証券外務員の資格を持っていたことなどから、この役割を受けもたされた。

「南洋の社債を買って救済団体に預ければ、3ヵ月後には過去の損失の全額を取り戻せ、しかも高額な特別配当も支払われます」

虚偽のセールストークを使って、I受刑者ら<社員役>の“架け子”は被害者を勧誘していく。この電話勧誘で話がまとまれば、『南洋株式会社』社長の中元被告が“受け子”となって、直々に被害者から現金を集金した。<実行部隊>の詐欺行為が開始された'10年12月から半年も経たない'11年5月以降、3つの金融機関に開設されていた『南洋株式会社』が<振り込め詐欺救済法>に基づいて凍結されてしまったからだ。

I受刑者はアジトで電話勧誘をはじめてから2、3日目頃には、すでに自分たちの行為が詐欺であることを認識していたと証言している。中元被告の公判で、検察側の証人として同事件の共犯者はI受刑者で3人目。先に召喚されたほかの2名も、およそI受刑者と同様の証言をしており、いずれも罪状を認めてすでに実刑判決を受けている。その量刑は、それぞれ7年6月と4年6月だ。

『南洋株式会社』社長の中元被告は、現在も<無罪>を争っている。しかし、中元被告の指示あるいは承認の有無にかかわらず、『南洋株式会社』に渡った資金が<被害回復型詐欺>によって被害者からだまし取られたものであった事実は変わることはない。

次回の中元被告の公判は6月18日午後、東京地裁715号法廷で開かれ、大久保被告の証人尋問が行われる予定だ。

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