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2014/01/09

「DV被害者」を苦しめる「DVでっち上げ」という虚誕の二次被害 ③

'13年7月30日。青森県八戸市に住む高校1年生のH君(当時15歳)は、その日ひとりで、東北大学(宮城県仙台市)で開かれたオープンキャンパスにきていた。

顔見知りのいるはずのない初めて訪ねたキャンパスで、H君は背後から誰かに肩を叩かれた。驚いて振り返ってみると、そこに立っていたのは、中学1年のときから別居している父親のK氏だった。

「警察は玉虫色にしてきたが、オマエを訴えざるを得ない。〇〇高校に訴状を出そうという話になってる。オマエは不正アクセス、虚偽公文書作成の共同正犯だ。触法少年も非行事犯になるんだぞ」

それが約3年ぶりに再会した実の父親から、H君が聞かされた言葉だ。K氏は、H君を被告にした訴訟を起こすつもりだという。しかも、その訴状の送達先をH君の通う高校にすると脅したのだ。

H君は別居するまで、母親のN子さんと弟のT君とともに、茨城県日立市にK氏が所有する家に4人で暮らしていた。だが、K氏の暴力に耐えかねたN子さんは、'10年7月15日にH君とT君を連れて家出する。その年の9月11日から青森県八戸市に定住するようになり、H君兄弟は同市内の学校に転校した。

K氏が、我が子を「触法少年」あつかいにして"共同正犯"と言い放ったうちの「虚偽公文書作成」とは、別居する以前の'10年2月22日に当時12歳だったH君が日立市内の接骨院で治療を受けた際に、同日付で発行された<診断証明書>のことだ。

これについてK氏は「(診断書に)『頭をサッカーボールのように蹴られました』って書いてあったぞ。接骨院にかかるときに『父さんに殴られました』って言ったのか?」などとH君に問い質した。しかし、件の<診断証明書>には「頭部打撲」と「背部挫傷」との傷病名のほかは、「安静加療を要す」としか書かれておらず、負傷の原因についての記載は一切ない。

母親のN子さんによれば、このときのH君のケガは、子ども部屋のあった3階から階下の2階まで、K氏に階段を引きずりおろされてできたものだという。それを否定するためだとしても、ただ母親に連れられて、接骨医に治療してもらっただけの小学生の子どもを「虚偽公文書作成」の"共同正犯"に仕立て上げようとするのは正気の沙汰とは思えない。

そして、もうひとつの「不正アクセス」とは、K氏のメールアカウントから膨大な量のメールデータをN子さんらが入手したことについてだ。

これらのメールは、複数の女性とK氏がやり取りをしたものが大半を占める。そのなかでK氏と大学時代から親交があるという女性から、N子さん母子と別居する約10ヵ月前の'09年9月23日に、K氏に宛てて送信されたものは<この4年間の様な、なんだか不倫相手みたいに中途半端な立場のままで過ごすのはイヤです ─中略─ 離婚して下さい。結婚はいつか先でいいけれど、離婚はすぐにして下さい。まずお互いに恋愛が出来る対等な立場になって、それから堂々と付き合いましょう。現実的には子供が大学へ入学するまでくらいは現在のまま、家族としての形態で生活を続けていても構わないし、私も東京にいます。でも夫婦としての法的関係は解消し、ケジメを付けて下さい>といった内容のプロポーズのメールだった。

また'10年2月2日には、おなじ女性とK氏が、その週末のデートの打ち合わせをする複数の往復メールがあった。このやり取りは、最後にK氏が<泊めてね>と返信をして締めくくっている。

さらにN子さんが入手したメールデータのなかには、K氏が別の女性2人と2度にわたってGf_1海外旅行に行っていた"証拠"もあった。ホテルのロビーらしき場所で、女性を膝の上に乗せて抱っこし、満面に笑み湛えたK氏の写真などだ。

N子さんはこれらをK氏との離婚訴訟や、面会交流ほか2件の申立事件などで証拠提出している。するとK氏は、「'11年8月11日頃に、自身が社長を務める会社にN子が不法に侵入して、アイパッドを盗み出した。それから調べたパスワードを使い、子どもにパソコンを操作させてメールアカウントに不正アクセスし、メールデータを窃取した」などという根も葉もない主張をして、警察に被害届も出したようだ。しかし、これは事件化されることもなく"不発"に終っている。

さらに同様の主張をしていた面会交流などの申立事件でも、K氏が東北大学のキャンパスに出現する5日前の'13年7月25日に、その審判で<窃取行為や不正アクセスを認めうる的確な証拠はない>と青森家裁八戸支部が事実認定をしていた。

つまりK氏は、すでに司法がH君の"潔白"を認めたことを承知していながら、未成年の我が子の非行を「でっち上げ」しようとしていたのだ。

またK氏は、N子さん側から法廷に出された"恥ずかしいメール"について、変造や改竄がなされているという主張もしてきた。これを真に受けた<弁護士と闘う!>というブログが'11年10月に「離婚事件・弁護士がラブメールまででっちあげる」と題した事実無根の記事を公開(今年1月6日に削除)したが、そこに全文が掲示されたメールに加工が施されたような痕跡は微塵もみられない。

N子さんは"恥ずかしいメール"などを証拠に、K氏の相手方の女性3人に対して、損害賠償を求める民事訴訟を青森地裁八戸支部に起こしていた。これらの訴訟は、いずれも'13年12月6日の判決で<性的関係があったとまでは推認できない>などとして請求は棄却されたものの、証拠のメールの信用性については<偽造、変造がなされたと推認することはできない>などと認定されている。

いずれにしても、茨城県に住むK氏が、青森県からH君が宮城県の東北大学に行くことを察知するのは容易ではない。そして、その目的が我が子に会いたい一心という純粋な親心とは、当日の会話の内容からはとうてい思えない。

東北大学に来ることを知ったことについてK氏は、「ありとあらゆる手段を講じて調べ上げた。裁判所の許可を取らなくても、こうやって偶然に会いました、って言えばいいんだよな」とH君に話しており、興信所や探偵社を使ったであろうことを示唆している。そこまでしてK氏がH君と会おうとした執念の源泉は、その5日前の家事審判にあったのかもしれない。

'13年7月25日に、3つの申立事件の審判があったことは前述した。これはK氏の側が「面会交流」「子の引き渡し」「子の監護者の指定」について申し立てたものだったが、そのいずれについても青森家裁八戸支部は却下し、つぎのように認定している。

申立人(註:K氏)による家族に対する暴力や物品に対する粗暴行為、別居後に二男が在籍する小学校に出向いてした申立人の行動、平成25年1月ころに申立人が長男のアドレスに送付したメールの内容等に照らすと、親子関係が動揺した原因は、申立人の行動に負うところが大きいと判断される。

申立人と子らとの手紙等の通信による交流も、子らに対し不安感の伴う強いストレスを生じさせたり、父母の間の忠誠葛藤を生じさせたりする蓋然性が高い。そうすると、申立人と子らとの直接、間接の面会交流は、いずれも子らの心情の安定を著しく害し安定した生活を困難にして、子らの福祉に大きな支障を生ずるおそれが高い。

そうした審判のあった直後に、K氏は東北大学のキャンパスでH君をつかまえ、「オマエも訴えるぞ」などと言って脅したのだ。

別居した年の'10年11月30日に、K氏の側から提起した離婚訴訟(翌年に妻側からも提訴)は、現在も係属している。また、3つの申立事件の審判に即時抗告('13年10月24日に却下)もした。それらの訴訟や申立事件の抗告で、K氏は、自分に不利な陳述書を書いたH君を恫喝することで、有利に立ち回ろうと考えて東北大学のキャンパスに行ったのかもしれない。

しかし、そうすることが逆効果でしかないことは、3つの申立事件の審判の認定によっても明らかだろう。

別居後の'10年12月2日に行なった<配偶者暴力に関する保護命令>の申立書に、N子さんは<別居後、私への暴言の電話がひんぱんにあり、夜もねられない日々が続いています。また、昼夜を問わないメールが保存されているものだけで160通あります。内容は私への暴言、私の親への暴言、子供を跡継ぎに1人よこせなど一方的なものばかりなので、一切連絡をとりたくありません>と記入していたが、K氏のストーカーまがいの威圧行為の執拗さは尋常ではなかった。

次男のT君が通う小学校に乗り込み、10時間近くも居座って、校長らに暴言を吐く。H君が通っていた中学校(当時)へ知人女性を行かせる。'13年1月10日には、母子の家の周りをレンタカーを使って徘徊し、H君兄弟はカーテンを閉めて身をすくませた。さらに同月28日から、H君のアドレスに複数のメールを送りつけ、K氏はそのなかに<母さんは不倫をして、中絶をしたことがあるが、お前は知らないのか>などと書いてN子さんを誹謗中傷。

さらにその翌月の2月8日には、弟のT君が登校途中に見知らぬ男から声をかけられ、「お父さんから頼まれた」と言って封筒を渡される"事件"もあった。この不意の出来事に怯えたT君は泣きながら帰宅し、その日は学校へ行けなくなったという。渡された封筒の中には、離婚訴訟の書類や現金2万円などが入っていた。N子さんから通報を受けた八戸警察署の警察官が、K氏に確認したところ、「母親がウソばかり主張するので、母親がウソつきだということを教えたかった」と説明したのだという。

また、発信者は不詳だが、'13年9月頃にはN子さんの仕事の関係先各所に"怪文書"が送りつけられている。それは、N子さんが婚姻中に他の男性と半同棲をしているというような、虚偽の中傷だった。

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「身に覚えのないDV加害者との汚名を着せられた」と主張するK氏だが、同居中の殴る蹴るの暴行の有無によらず、すくなくとも別居後のストーカーまがいの行為は「精神的暴力」といっても過言ではないだろう。

K氏のN子さん母子に対する嫌がらせには、法的な手段を使ったものもある。そのひとつが、昨年末に「配偶者暴力に関する保護命令の申し立てを有利にするため、虚偽の内容の診断書を作成した」として、K氏が提起した訴訟だ。このほかにも、K氏は<弁護士と闘う!>と提携する太田真也弁護士(神田のカメさん法律事務所)を代理人にした2件の訴訟を、N子さんに対して起こしている。

これらの裁判については、追ってレポートしていく。

<了>

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